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************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ************************************************************** 第107号 2005/12/26 ▼ まえがき:今週号は「発明」がテーマ ▼ [製造業の呪縛] 4つの世界 ▼ [製造業の呪縛] インフラの世界 ▼ [製造業の呪縛] インフラの世界でのITベンチャーの発明 ▼ [製造業の呪縛] アプリケーションの世界 ▼ [製造業の呪縛] ミドルウェアの世界 ▼ [製造業の呪縛] ビジネスモデルの世界 ▼ [製造業の呪縛] ある発明家との業務提携 ▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき:今週号は「発明」がテーマ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。 ・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。 ・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html を参照してください。 ・バックナンバーはブログでも公開しています。 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ ある顧客からのシステム開発費支払いが滞っているので、調査した ところ、経営不振に陥っていることが分かりました。 その顧客は資本金4億円を超えるITベンチャーです。 それだけの資本金の大半を一つの発明につぎ込み、それが全く収益に 結びついていないのです。 発明や新しいビジネスモデルを核とした事業展開をし、経営不振に 陥ってしまったITベンチャー、倒産にまで至ったITベンチャーは 少なくありません。 むしろ、発明やアイデアで儲けているITベンチャーは、例外的な 存在だと言っても過言ではないでしょう。 今週号では、発明について考えます。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] 4つの世界 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 発明した人、アイデアを思いついた人は、どうしても自分の世界で 妄想を膨らましてしまいます。 その発明やアイデアを客観的に見るために、世界を下記の4つに分類し、 その発明やアイデアがどの世界にあるのかを考えることは非常に 役立ちます。 1.ビジネスモデルの世界 2.アプリケーションの世界 3.ミドルウェアの世界 4.インフラの世界 これらの4つの世界はそれぞれ性格が異なり、それ故、下記の3つの 戦略の有効性も異なるのです。 ・オープン化戦略 ・非公開戦略 ・知的所有権戦略(公開するが知的所有権で守る) =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] インフラの世界 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= インフラの世界とは、OS、ネットワーク、WEBサーバなどの世界です。 水道、電気、ガスが途絶えたら一般の人は生活できなくなります。 それと同様に、ITインフラが止まったり、不安定だったり、あるいは セキュリティ面などで障害が発生したりすれば、ほとんどの人の仕事は 深刻なダメージを受けます。 したがって、信頼性、安定性、スケーラビリティが強く求められます。 その結果、公共財化、共有物化、標準化、オープン化の力が強烈に 働くのです。 したがって、この世界では、長期的には次の二つしか成功パターンは ありません。 (1)マイクロソフトやシスコシステムズのように圧倒的な力を持った グローバル企業が、自ら世界標準を作ってしまう。 (2)LinuxやApacheのように、世界中のオープンソースコミュニティを 味方に付ける。 (1)の場合は、非公開戦略を採ることによって、製品として独占し、 利益を得ることが可能です。 また、知的所有権戦略を採ることによって、ライセンス料で利益を 得ることも可能です。 しかし、それらの戦略を採って、尚且つ、極めて高水準の信頼性、 安定性を維持するためには、莫大な開発費が必要となります。 また、技術とは関係ない強力な力(圧倒的な政治力、営業力、企業力)が 必要となります。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] インフラの世界でのITベンチャーの発明 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 冒頭で述べたITベンチャーの発明はインフラの世界の発明でした。 現実のビジネスモデルと不可分に結びついているわけではなく、 「ブラウザでこんなこともできるようになりました。ビジネスモデルは 皆さんで考えてください」という性格の発明でした。 マイクロソフトがIEの追加機能としてリリースするなら、「画期的だ」と 評価されたでしょうが、同じことを中小企業がやっても莫大な開発費に 見合うだけのメリットがありません。 オープンソースにしてオープンソースコミュニティを味方に付ければ、 開発費は節約できるでしょうが、その場合は知的所有権による直接的な 収益はありません。 したがって、インフラの世界で個人や中小企業が非公開技術や 知的所有権だけ持っていても利益を生み出せないのです。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] アプリケーションの世界 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= アプリケーションの世界は、オープンな技術規格が弱い、または、 存在しない世界です。 例えば、Wordや一太郎などのワープロソフト、筆王などの年賀状ソフト、 AutoCADなどのCADソフト、Illustratorなどの画像編集ソフトなどは 全て、非公開の独自ファイルフォーマットを持っています。 おそらくそのアプリケーションを組む上では、最適なファイルフォーマット になっているのでしょう。 ITインフラの障害はほとんどの人の仕事に深刻な影響を与えますが、 アプリケーションが多少不安定でも、バグがあっても本当に困る人は ごく少数です。 したがって、アプリケーションの世界では、信頼性、安定性、 スケーラビリティはインフラの世界ほどには求められません。 それ故、公共財化、共有物化、標準化の力は弱いのです。 ここでは、個人や中小企業が非公開戦略、知的所有権戦略を採ることは 理にかなったことです。 しかし、この場合、知的所有権の目的は、ライセンスで稼ぐことではなく、 真似されるのを防ぐことになるでしょう。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] ミドルウェアの世界 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ミドルウェアの世界とは、Oracleのようなデータベース、シトリックスの MetaFrameのような開発ツールの世界で、技術規格はあるけれど不完全 な世界です。 インフラの世界とアプリケーションの世界の中間的な性格を持っています。 また、インフラとミドルウェア、アプリケーションとミドルウェア との境界線は実際には曖昧です。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] ビジネスモデルの世界 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ビジネスモデルの世界とは、現実の業務の世界です。 この世界では、知的所有権はあまり意味がないと思います。 特許取得には時間と費用がかかる上に、ビジネスモデルを特許で 守ることは現実的には難しいからです。 知的所有権で守るよりも、他人が容易に真似できないノウハウを 蓄積していくこと、才能ある人を集めていくことの方が重要でしょう。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] ある発明家との業務提携 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 私は11月末から、ある発明家と業務提携について話し合っています。 慶が請負開発や技術者派遣だけでなく、発明や新しいビジネスモデルを 狙って行かなければならないことは確かだからです。 その発明家が持っている発明はインフラ系の発明なので、それ単独 ではなく、アプリケーションまたはビジネスモデルと密接に結びつけて 世に出したいと考えています。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次号以降は次のようなテーマで書く予定です。 ・オープンソース時代のソフトウェア会社のあり方 ・製造を外注した場合のソフトウェア会社のあり方 ・ソフトウェア全体を外注するサービス会社のあり方 次号は、1月2日発行予定です。 乞うご期待!! *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 本メルマガについて *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。 創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、 本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、 目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。 したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び 慶と契約している個人事業主を想定しています。 彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。 また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、 ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、 第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する ことにしました。 「まぐまぐ!」での読者数は2005年12月25日現在、448名です。 本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非 本メルマガの存在を教えてあげてください。 (以下をそのまま転送するだけです。) --------------------------------------------------- 【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】 ⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または http://www.kei-it.com/sailing/ -------------------------------------------------- このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm (但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。) 発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ (発行者Webサイトではバックナンバーの全文検索も可能です。) バックナンバーはブログでも公開しています。 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp Webシステム開発事業部 http://www.kei-ha.co.jp ITサービス事業部 http://www.kei-it.com 人材コンサルティング事業部 http://www.k-bank.jp TEL:03-5951-8490 ☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆ ☆ このメルマガに対するご感想・ご質問はこちらにお寄せください。 ☆ office@kei-ha.co.jp |
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