メルマガ ソフトウェア業界 新航海術 |
ホーム |
バックナンバー |
2010年のシステム開発 |
航海術 |
||
バックナンバーの全文検索 全バックナンバー(古い号が先) 全バックナンバー(新しい号が先) ●:5年後のシステム開発 ●:ブルックスの法則 ●:グーグルの衝撃 ●:保存できないエディタ |
●:製造業の呪縛 ●:請負と派遣 ●:永久運動の設計 ●:大きくなるか、小さくなるか ●:ゴーイング・コンサーン ●:金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社 |
●:経営の基準となる数字 ●:借入れと連帯保証 ●:ソフトウェア振替という麻薬 ●:賃金決定の仕組み ●:SE・プログラマの資質 ○:その他 |
************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ************************************************************** 第116号 2006/2/27 ▼ まえがき ▼ [製造業の呪縛] 個人情報保護法の影響 ▼ [製造業の呪縛] 今でもほとんど社内持ち帰りという会社 ▼ [製造業の呪縛] 継続的な関係を前提とした下請け構造 ▼ [製造業の呪縛] 社内持ち帰り開発ができる会社 ▼ [製造業の呪縛] 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達(がもう よしさと)です。 今週号は、社内持ち帰り開発について考えます。 どのシリーズに分類しようか迷いましたが、「製造業の呪縛」シリーズに 分類します。 「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html を参照してください。 バックナンバーはブログでも公開しています。 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] 個人情報保護法の影響 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 去年4月1日に個人情報保護法が完全施行されました。 その影響について次のような声を聞きます。 ○S社I常務の談話(2006年2月) 「全てのデータ、ドキュメントが持ち出せなくなりました。 パソコンの持ち込みすらできなくなりました。 弊社はこれまでずっと社内持ち帰りでやってきましたが、去年4月 以降は全部常駐になりました。 社内の開発フロアには今は誰もいませんよ。」 S社は、1985年設立、従業員数約140名、売上高12億円、 ISO9001認証も取得している会社です。 業務的には金融・流通系を得意とし、顧客は大手メーカ、大手SIerが ほとんどです。 ○U社コンサルタントの談話(2006年1月) 「今までは調査分析のための元データをCD-ROMでもらえましたが、 去年4月以降は常駐しないと調査分析ができなくなりました。」 U社はデータマイニングのパッケージの販売とそれに伴う コンサルテーション、カスタマイズを得意とする会社です。 個人情報保護法の影響で、持ち帰りの仕事は減っています。 もっとも、持ち帰りの仕事が減っている理由は、プロジェクトの 度重なる失敗の方が大きいかもしれません。 例えば、次のような声も聞こえます。 ○R社営業の談話(2006年2月) 「2004年度は持ち帰りと中国オフショアの失敗で大赤字を出して しまいました。2005年度は2年分の利益を出さないといけないんですよ。 今は持ち帰りと中国オフショアは止めて、ほとんど常駐です。」 R社は東証一部上場企業です。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] 今でもほとんど社内持ち帰りという会社 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= しかし、今でもほとんど社内持ち帰りという会社もあります。 先週、B社を訪問し、Y取締役と会談しました。 B社は1982年設立、社員数55名、売上高約4億の会社です。 大手メーカ数社からの直取引が売上の大半を占め、そのほとんどは 社内持ち帰りです。 持ち帰りが多い理由は、大手メーカとの付き合いが長いからです。 付き合いが長く、信用があるからというだけでなく、開発環境の 問題もあります。 大手メーカの製品(ハードウェア、パッケージ、ミドルウェア)を 使った開発経験が豊富で、その製品特有の開発環境(ハードウェア・ ソフトウェア)が社内にあるから、持ち帰らせてくれるのです。 例えば、大手メーカN社のPOSシステム開発の前提となるN社製 POS専用機も社内に設置しています。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] 継続的な関係を前提とした下請け構造 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 要するに、「継続的な関係を前提とした下請け構造に基づいた 持ち帰り」なのです。 このことは、大手メーカの製品や文化に縛られるという結果も もたらします。 まず、技術的に縛られます。 例えば、VB.NETによるC/Sシステムの開発はB社の売上でかなりの比重を 占めていますが、それは、ベースとなるメーカ製パッケージがVB.NET によるC/Sシステムだからです。 また、独自の顧客開拓、事業展開ができなくなります。 その結果、社歴のわりには規模や範囲は拡大しなくなります。 そして、企業文化が製造業の文化に近くなります。 > 製造現場の目標は明確だ。よりよい品質のものを、少しでも安い > コストで作ること以外に目標はない。 > (森永卓郎著「リストラと能力主義」より) ここでは、「粒の揃った労働者が一丸となって努力しよう」という 文化が支配的になります。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [製造業の呪縛] 社内持ち帰り開発ができる会社 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 今後、社内持ち帰り開発ができる会社は下記の二つでしょう。 (1)コンサルテーション→パッケージのカスタマイズ 例えば、上記U社の場合、調査分析は常駐になりましたが、パッケージの カスタマイズは、今でも自社内で行っています。 (2)顧客と継続的な関係を築ける会社 上記B社は大手メーカと継続的な関係を築きました。 そのため、持ち帰りが可能となったのです。 顧客がエンドユーザであっても、強固な信頼関係を築くことができれば、 持ち帰りは可能となります。 =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次号では、「パッケージを作るとしたら、どこを狙ったらよいか」 について考えます。 次号以降では次のようなテーマも取りげていきます。 労務系: ・雇用契約、裁量労働制、個人事業主 技術系: ・ブルックスの法則を超えるもの ・贈与と交換 ・ピアレビュー 外国系: ・中国は脅威か? 次号は、3月6日発行予定です。 乞うご期待!! *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 本メルマガについて *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。 創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、 本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、 目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。 したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び 慶と契約している個人事業主を想定しています。 彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。 また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、 ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、 第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する ことにしました。 「まぐまぐ!」での読者数は2006年2月13日現在、455名です。 本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非 本メルマガの存在を教えてあげてください。 (以下をそのまま転送するだけです。) --------------------------------------------------- 【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】 ⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または http://www.kei-it.com/sailing/ -------------------------------------------------- このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm (但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。) 発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ (発行者Webサイトではバックナンバーの全文検索も可能です。) バックナンバーはブログでも公開しています。 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ -------------------------------------------------- 「厳選!優良案件情報ブログ」では、エンドユーザ直、持ち帰り可、 高単価案件を掲載しています。 もしも興味をお持ちの案件がありましたら、ご一報ください。 URL:http://kei-it.tea-nifty.com/gensen/ ID:gensen パスワード:gensen -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp Webシステム開発事業部 http://www.kei-ha.co.jp ITサービス事業部 http://www.kei-it.com 人材コンサルティング事業部 http://www.k-bank.jp TEL:03-5951-8490 ☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆ ☆ このメルマガに対するご感想・ご質問はこちらにお寄せください。 ☆ office@kei-ha.co.jp |
|
(c)Copyright Kei Co.,Ltd All Right Reserved |