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******************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ******************************************************************** 第12号 2004/02/23 ▼ まえがき ▼ 前号までのまとめ ▼ 私には、5年後も技術者が苦闘している姿が見えます ▼ ソフトウェア技術者の幸福:難しさが市場を守る ▼ ソフトウェア技術者の幸福:確立された巨大市場 ▼ ソフトウェア技術者の不幸 ▼ 参考記事 ▼ 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達です。お疲れ様です。 本メルマガは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と 契約している個人事業主の方々に配信しています。 感想をお持ちなら是非返信してください。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、会社はどのようになっているか?] 前号までのまとめ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 前号までで、システム開発についての現状分析がほぼ終わりました。 再度繰り返しましょう。 (1)グローバル化と標準化に起因する強烈な低価格化・短納期化 圧力が存在します。 (2)しかし、設計は技術的・非技術的要因によって容易には圧縮 できません。 (3)したがって、下記の三つが求められます。 A.製造技術の進化による製造部分のより一層の高速化。 B.ユーザの積極的関与による設計・製造全体の圧縮。 C.「ユーザの積極的関与による漸増的開発」を前提とした新しい 契約モデルの創出。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、会社はどのようになっているか?] 私には、5年後も技術者が苦闘している姿が見えます *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 上記(3)A,B,Cはもちろん容易なことではありません。 ただでさえ難しいシステム開発に強烈な低価格化・短納期化圧力 が加わっていているので、システム開発は一層失敗しやすくなって います。それを成功させることは決して容易なことではありません。 そして、強烈な低価格化・短納期化圧力の根底には、経済の グローバル化があり、今後もグローバル化が進展する以上、 低価格化・短納期化圧力も強化されていくでしょう。 私には、5年後も技術者が苦闘している姿が見えます。 社内での一括持ち帰りの仕事でも社外での準委任の仕事でも 強烈な低価格化・短納期化圧力の下での仕事であることに変わり はありません。 障害物がある中を猛スピードで駆け抜けるようなプロジェクトで、 時には障害物に衝突し、満身創痍になりながらも、必死になって 頑張っている5年後の技術者の姿が私には見えます。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、会社はどのようになっているか?] ソフトウェア技術者の幸福:難しさが市場を守る *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= もともと難しいシステム開発に低価格化・短納期化圧力が加わって、 難しくなりすぎることは、技術者にとって不幸なことなのでしょうか? 実は、これは不幸なことであると同時に幸福なことでもあるのです。 それは「ソフトウェア開発という仕事には苦しみもあるが創造の 喜びもある」という意味ではありません。 「巨大な市場が存在し続け、正しい方向つまり(3)A,B,Cの方向に 努力していけば、成功できる」という意味なのです。 産業革命で織物の大量生産が可能になったとき、多くの機織職人 が職を失いました。 そこまで時代をさかのぼらなくとも、20年前、ワープロの登場により、 和文タイピストという職業が消滅しました。 我々が最も恐れなければならないことは、仕事が難しくなりすぎる ことではありません。簡単になりすぎることなのです。 幸いなことに、プログラマの職を奪うほど、システム開発を楽 にするような発明は当分現われません。 難しいからこそ、市場が存在し続けるのです。 難しいからこそ、力の無い会社と技術者が適度に淘汰され、 力があり、努力し続ける会社と技術者が繁栄できるのです。 今後もソフトウェア技術者の苦闘は続くでしょう。 しかし、仕事の難しさを恨むのは筋違いというものです。 その難しさこそが、技術者に仕事を保証しているのですから。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、会社はどのようになっているか?] ソフトウェア技術者の幸福:確立された巨大市場 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= システムの一括請負や準委任による開発以外にも、IT企業が生きる 道はあります。 パッケージ開発、ASPサービス、ある特殊分野への特化などです。 あるいは、ITを利用したサービス、(例えば1月から始めた人材 コンサルティング)という道もあります。 しかし、これらはある意味でシステム請負開発よりももっと難しい ことです。 市場が確立されていないところに市場を作る、市場が小さすぎる ところで利益を上げるということですから。 システム請負開発には、標準化された巨大な市場があります。 そして進むべき方向(上記(3)A,B,C)は見えています。 不幸なことは敵が強大なだけです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、会社はどのようになっているか?] ソフトウェア技術者の不幸 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 戦いの渦中にいる技術者には耐えがたいほどのストレスがかかる ことも多いでしょう。 しかし、ここで思い出して欲しいことは、第7号、第8号で解説した とおり、標準化が進んだ世界とは皆が同じ土俵で戦う世界であると いうことです。 プロプライエタリの時代には、会社によって、また技術者によって 競争の条件が違っていました。中には特別に有利な環境にいて、 楽をしている会社や技術者もいました。 しかし、標準化が進むにつれて、皆が同じ条件で競争するように なったのです。 つまり、我々にとって苦しい競争は、他社にとっても苦しいのです。 貴方が苦しいときは、皆も苦しいのです。 その中で、会社であっても個人であっても上記(3)A,B,Cの方向に おいて何らかの優位性があれば、十分に勝つことができるのです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* [5年後、会社はどのようになっているか?] 参考記事 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 下記は日経コンピュータ2月23日号の特集「プロジェクトマネジメント “再”入門」からの引用です。 > アルゴ21は赤字プロジェクトが原因で業績が低迷している。 > 昨年度(2003年3月期)は全プロジェクトのうちの10%以上が赤字となった。 > その結果、営業利益は1億9400万円と前年度より84.5%減った。 > > 今年度も回復の兆しは見えない。2003年9月期中間決算の営業利益は > 前年同期(2002年9月期)比77.4%減の3200万円。中間純損益は4900万円の > 赤字だ。 > > アルゴ21では、ここ数年、手戻りやリスクの読み間違いが頻発。 > コスト超過や納期の遅れを来すプロジェクトが後を絶たないでいる。 > > 例えば昨年9月までに終わる予定だった複数の大規模プロジェクトが > 相次ぎ破綻した。顧客への納品が一部来年度(2004年度)以降にずれ込み、 > 今年度の営業利益見通しを期初の9億7000万円の黒字から6億3000万円の > 赤字へ下方修正する一因となった。 > > 破綻したプロジェクトはカットオーバーまでコストだけが積み > 上がっていく。今年度第3四半期(2003年9〜12月)だけ見ても、 > 4億円のコスト・アップを招いた。 > 現在抱えている、いくつかの赤字プロジェクトの悪影響は、 > 来年度以降も続く。 詳細は下記URLを参照してください。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/TOKU1/20040217/1/ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 次号は、3月1日発行予定です。乞うご期待!! 今後は、技術よりも会社や組織について話題を移していこうと 思っています。 -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp http://www.kei-ha.co.jp TEL:03-5951-8490 携帯:090-1258-6347 |