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○:その他

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第127号  2006/5/15
  ▼  まえがき
  ▼  [ブルックスの法則] オープンソースという大潮流
  ▼  [ブルックスの法則] オープンソースと人月の神話問題
  ▼  [ブルックスの法則] オープンソースについてあまり語られないこと
  ▼  [ブルックスの法則] 本メルマガでのオープンソース関連記事
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第120号から、「ブルックスの法則」について書いています。


「ブルックスの法則」シリーズを最初から読みたい方は、下記を参照
してください。
http://www.kei-it.com/sailing/back_brooks.html

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



ブルックスの法則:
遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけだ。

Brooks's Law:
Adding manpower to a late software project makes it later.


尚、本メルマガで「人月の神話問題」と言った場合は、ソフトウェア開発
一般についての次のような問題を指します。

・ソフトウェア構築は、本来、下記の二つの性格を持っている。
 (1)順次的に連続していて分担できない仕事。
 (2)複雑な相互関係における作業の遂行。
・したがって、要員を追加することが、スケジュールを長引かすことは
 あっても、短くすることはない。



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  [ブルックスの法則] オープンソースという大潮流
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梅田望夫著「ウェブ進化論」(ちくま新書)によると、グーグルの
システムは全て(OSもDBもミドルウェアも)、オープンソース+自作
ソフトで構築されているそうです。

同書では、グーグル社チーフ・オペレーションズ・エンジニアのジム・
リース氏の次の言葉を紹介しています。

「数テラバイトのデータ、30億のウェブ上の文書にインデックスをつけ、
毎秒数千リクエストをさばく検索エンジンをいかにして作ったか。
1万台以上のリナックスサーバでできているんだよ。」

「1万台以上」という数字は、2003年春の数字なので、現時点では
さらに増えているでしょう。
梅田望夫氏は、サーバではなくボードで数えると30万台程度接続されて
いると推定しています。


IT業界の今度は、オープンソースを抜きにして語ることはできません。

梅田望夫氏も「ウェブ進化論」の中で、オープンソースを「次の10年
への三大潮流」の一つとしています。(ちなみに、残りの二つは、
「インターネット」と「チープ革命」です。)

> いかにグーグルの技術者が凄くても、オープンソースという大潮流が
> 存在しなければ、情報発電所をゼロベースで作ることはできなかった
> のである。
>              (梅田望夫著「ウェブ進化論」より)



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  [ブルックスの法則] オープンソースと人月の神話問題
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日本の多くの学者や技術者がオープンソースを賞賛しています。
しかし、私には、彼らの言説に二つの不満があります。

不満の一つは、人月の神話問題と関連付けて論じられていないという
点です。

今でもオープンソースの教書となっているレイモンド著「伽藍とバザール」
には、「人月の神話」「ブルックスの法則」についての詳細な考察が
あります。

嘘だと思うなら http://cruel.org/freeware/cathedral.html を参照
ください。
そのページに「伽藍とバザール」の全文が公開されているので、IEの
「このページの検索」機能で「ブルックス」で検索してみてください。
印刷したら35ページ程度の短い論文の中で「ブルックス」が17回も
出てきます。
「伽藍とバザール」の主題は、「オープンソースはブルックスの法則を
超えた」であると言っても過言ではありません。

次号で、人月の神話問題と関連付けてオープンソースを論じます。



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  [ブルックスの法則] オープンソースについてあまり語られないこと
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もう一つの不満は、日本の多くの学者や技術者によるオープンソース
論はオープンソースの一面しか見ていないということです。

オープンソースに対する批判でよく聞かれるものは次の二つです。

(1)バグは誰が責任を持つのか?
これについては、日本の学者や技術者もよく語ります。

(2)プロのプログラマの商売の邪魔
これについては、公的にはあまり語られませんが、私的な場では
しばしば語られます。

> オープンソースは確かに不思議な魅力を秘めているが、それを苦々
> しく思う人たちも多数存在する。
> たとえばソフトウェア産業のメッカ、シリコンバレーでも、オープン
> ソースの台頭に対し、「じゃあ、俺たちはプロのプログラマーとして
> どうやって住宅ローンを支払っていけばいいんだよ。いちばん
> 難しくて面白いプロの仕事を無償でやって、生計を立てるためには
> やさしいけどつまらない仕事をこなして稼げとでも言うのか」
> みたいな話は今も出続けている。
>             (梅田望夫著「ウェブ進化論」より)



しかし、下記の二点は日本の学者や技術者はほとんど語りません。

・オープンソースを応援する企業には、ボランティアプログラマとは
 別の思惑がある。

・オープンソースの作業に使えるボランティアプログラマの才能は
 無限だというのは幻想にすぎない。


これらの点について、さらに、オープンソースとIT業界の未来予想に
ついて、次号以降で論じます。



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  [ブルックスの法則] 本メルマガでのオープンソース関連記事
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尚、本メルマガで、これまでにオープンソースについて取り上げた
記事は下記のとおりです。


・第117号「オープンソースが苦手とするソフトを作るべき」
 http://www.kei-it.com/sailing/117-060306.html

・第108号「2006年のインフラ、ミドルウェア開発」
 http://www.kei-it.com/sailing/108-060102.html

・第107号「インフラの世界」
 http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html

・第109号「パッケージ・ソフトが置かれている状況」
 http://www.kei-it.com/sailing/109-060109.html


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  次回以降の予告
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次回以降で、次の方向で考察を続けます。

・オープンソース運動の理論的指導者であるレイモンド氏が、
 ブルックスの法則に反して「頭数は一つよりは多いほうが絶対にいい」
 と主張している理由。



また、次号以降では次のようなテーマも取りげていきます。

技術系:
・OSS(オープンソースを持ち上げる人々、オープンソースの実態)
・Linux台頭とSUN
・SEO対策
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・グーグルの衝撃
 (本を読むこと、ネットで読むこと)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK

外国系:
・中国は脅威か?

法務系:
・コンプライアンス
・取締役と執行役員

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、5月22日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年5月9日現在、486名です。


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