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******************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ******************************************************************** 第13号 2004/03/01 ▼ まえがき ▼ 読者からの質問 ▼ 参考記事:プロジェクト成功率は26.7%? ▼ 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達です。お疲れ様です。 本メルマガは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と 契約している個人事業主の方々に配信しています。 感想をお持ちなら是非返信してください。 前号までで、「5年後、システム開発はどのようになっているか?」 シリーズはほぼ完了しました。 今週号は、読者からの質問に対する回答、参考記事、今後の予定を お届けします。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、システム開発はどのようになっているか?] 読者からの質問 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 契約社員の岡村さんからの質問とそれに対する回答を記します。 【質問】 「ユーザの積極的関与による設計の圧縮」ということは本当に可能 ですか? 【回答】 第6号で解説したとおり、ウォーターフォールの時代にもユーザ からのフィードバックとそれに基づく大幅な作り直しということは 頻繁に発生していました。 それはシステム開発の本性(複雑性・不可視性・可変性)からすると 不可避的なことでしたが、開発プロセスの建前上はあってはなら ないことでした。フィードバックと作り直しは、上流工程のミス であり、本来は無くすべき工程でした。 一方、漸増的開発では、ユーザからのフィードバックとそれに 基づく作り直しを開発プロセスの中の正規の構成要素として扱います。 「こまめにフィードバックと作り直しを繰り返す方が、使いものに なるシステムを迅速に開発できる」というのが漸増的開発の基本的 考え方です。 したがって、ユーザからのフィードバックが遅ければ、漸増的開発は 機能しません。 第11号で述べたように「目を閉じて高速道路を運転する」状態に なってしまうのです。 したがって、漸増的開発においては、ユーザとの協同開発という 視点での契約が必要となります。 例えば、次のような案が考えられます。 ・開発会社に開発体制を明示する義務を課する一方で、ユーザ側にも 自身の体制と仕様を決める権限者を明示させる義務を負わせる。 ・1日でも納期遅れが発生すれば開発会社に債務不履行責任が発生 するのと同様に、ユーザからのフィードバックが1日でも遅れれば、 ユーザ側に債務不履行責任が発生する契約とする。 ------------------------ 【質問】 そのような契約をユーザが認めますか? 【回答】 上記のような契約はユーザの担当者には厳しい契約ですが、ユーザの 経営者や会社全体の利益には適う契約です。 ユーザからのフィードバックが遅れ、開発が遅れ、その結果として リリース時期が延びる方が、ユーザ企業全体にとっては損害が大きい のです。 業界団体で一貫性のある契約モデルを作れれば業界全体を変えて いくことも可能です。また、慶1社だけでも、顧客に考え方を はっきりと説明できれば状況は変わるはずです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [5年後、システム開発はどのようになっているか?] 参考記事:プロジェクト成功率は26.7%? *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 平成15年11月17日号の日経コンピュータで「プロジェクト成功率は 26.7% 2003年情報化実態調査」という記事が載っていました。 ( http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/TOKU1/20031111/1/ 参照) 日経BP社が大手から中堅・中小に至る1万2546社を対象に アンケート調査したところ、プロジェクトの成功率は26.7%と いう結果が出たそうです。 QCD(Quality:品質 Cost:コスト Delivery:納期)全てにおいて 当初の計画通りの成果を収めたプロジェクトだけを「成功」と みなしたそうです。 ソフトウェア業界に長くいて、多くのプロジェクトの失敗例を 見ていると、「プロジェクト成功率26.7%」と言われても違和感を 感じなくなってしまいます。 しかし、もしもビル建設成功率26.7%などという建設会社があれば、 その会社には誰も仕事を頼まないでしょう。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* 今後は、技術よりも会社や組織について話題を移していこうと思っています。 例えば次のようなテーマを考えています。 ○大きくなるか?小さくなるか? 会社は「規模の経済」「範囲の経済」の論理で大きくなる方がよいのか? それとも、コア・コンピタンスに集中し、残りの機能は極力アウトソーシング する、つまり小さくなる方がよいのか? ソフト会社の適正規模はどのくらいなのか? ○金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社 貸借対照表での資本の部を大きくするためには、増資をするか内部留保を 増やすかしかありません。 しかし、外部資本による増資は会社が外部から支配されることにつなが りますし、小規模株主を増やしてしまうと株主構成が複雑になります。 非公開企業での最適な株式戦略とはどのようなものなのでしょうか? また、内部留保を1,000万円増やすということは、1,695万円の税引前利益を 上げ、695万円の税金を払うということを意味しています。 これだと国は喜ぶでしょうが、一方で従業員への還元と研究開発への投資 との関係からも論じていかなければなりません。 そもそも金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社とはどのようなものであり、 どうして差が出てくるのでしょうか? ○カネボウの社長、フューチャービーツの社長 産業再生機構に支援を要請しているカネボウは2月26日、帆足隆会長 兼社長以下8人の取締役全員が経営責任をとって3月末の臨時株主総会後に 辞任する、と正式に発表しました。 カネボウの全有利子負債は5,200億円だとカネボウは言っています。 (本当はもっとあるかもしれません。) しかし、カネボウの社長が経営責任を取るということは辞任するだけです。 カネボウの社長個人が負債を抱えるということはありません。 それどころか、長銀が破綻し、杉浦元頭取が辞任した時は7億円もの 退職金を受け取りました。(カネボウの社長は退職金はもらわないそうです。) 一方、慶と以前取引のあったフューチャービーツのS社長は、会社が たかだか1億円の負債を抱えたことによって、S社長個人の全財産を 失った上、4人家族全員で夜逃げしました。 あまりにも大きなこの違いは何でしょうか? ○社員とemployee 商法上は「社員」という言葉は有限会社の株主を表すものです。 何故、会社の従業員を「社員」と呼ぶのでしょうか? 社員とemployeeとは違うのでしょうか? ○狼の倫理、ボノボの愛 人間にとって、社会とは、仕事とは、家庭とは、愛とは何かという 根本的な問題を動物行動学的な視点で論じてみたいです。 次号は、3月8日発行予定です。乞うご期待!! -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp http://www.kei-ha.co.jp TEL:03-5951-8490 携帯:090-1258-6347 |