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************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ************************************************************** 第144号 2006/9/11 ▼ まえがき ▼ [グーグルの衝撃] ネットの「こちら側」と「あちら側」 ▼ [グーグルの衝撃] マイクロソフトの圧倒的な強さの理由 ▼ [グーグルの衝撃] デ・ファクト・スタンダード ▼ [グーグルの衝撃] グーグルが標準になるということ ▼ [グーグルの衝撃] 猛烈な価格破壊が始まる(?) ▼ 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達(がもう よしさと)です。 第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。 このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。 「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、 「バックナンバー グーグルの衝撃」 ( http://www.kei-it.com/sailing/back_google.html )を参照して ください。 または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の 左列にあるCategories「グーグルの衝撃」をクリックして ください。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [グーグルの衝撃] ネットの「こちら側」と「あちら側」 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 梅田望夫氏は「ウェブ進化論」で、ネットの「こちら側」と 「あちら側」を次のように説明しています。 > ネットの「こちら側」とは、インターネットの利用者、つまり > 私たち一人一人に密着したフィジカルな世界である。 > 一方、ネットの「あちら側」とは、インターネット空間に浮かぶ > 巨大な情報発電所とも言うべきバーチャルな世界である。 > いったんその巨大設備たる情報発電所に付加価値創造のシステムを > 作りこめば、ネットを介して、均質なサービスをグローバルに提供 > できる。 そして、IT産業の重心がネットの「こちら側」から「あちら側」に 移行することによって、グーグルがマイクロソフトに代わって、 IT業界の盟主になるというのが、「ウェブ進化論」で提示されている 近未来像です。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [グーグルの衝撃] マイクロソフトの圧倒的な強さの理由 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ここで、マイクロソフトが圧倒的な強さを持てた理由について復習 しておきましょう。 インテルは最近AMDの激しい追い上げを受けて、業績に陰りが出て きています。 SUNはここ数年業績が低迷しています。 しかし、マイクロソフトだけは、嫌われたり、けなされたりしながらも、 毎年増収増益を続けています。 本メルマガの第124号、第125号、第132号で、私は、 「マイクロソフトの大成功の理由を、ビル・ゲイツの天才にのみ求める のは間違えている。マイクロソフトが売れる製品を出し続けることが できたのは、マイクロソフト独特の『プログラムマネージャ』という 制度がうまく機能したからだ」ということを述べました。 ・第124号 マイクロソフトの「ブルックスの法則」対策 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/04/post_3020.html または http://www.kei-it.com/sailing/124-060424.html ・第125号 マイクロソフトのプログラムマネージャ http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/05/post_a4c0.html または http://www.kei-it.com/sailing/125-060501.html ・132号 オープンでもクローズドでも良い製品を生み出す環境は似ている http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/06/post_8949.html または http://www.kei-it.com/sailing/132-060619.html しかし、もちろん「プログラムマネージャ」だけではマイクロソフトの 圧倒的な強さは説明できません。 周知のとおり、マイクロソフトの力の源泉は、OSとオフィス製品で デ・ファクト・スタンダードの地位を獲得したことです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [グーグルの衝撃] デ・ファクト・スタンダード *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 岩井克人氏は「会社はこれからどうなるのか」で、「情報を流通させる ための媒体」と「デ・ファクト・スタンダード」について次のように 解説しています。 > 情報の商品価値とは、その差異性です。 > いくら有用な情報であっても、それが多くのヒトによって共有されて > しまえば、経済的な意味での価値を失います。 > だが、情報そのものではなく、その情報を流通させるための媒体に > かんしては、これとはまったく逆の原理がはたらくのです。 > それは「デ・ファクト・スタンダード」の原理です。 > デ・ファクト・スタンダードとは、直訳すれば「事実上(DE FACTO) > の標準(STANDARD)」ということです。 > それは、あるモノが標準として使われているのは、それが標準として > 使われているという事実以外には何の理由もないという意味です。 > すなわち、あるモノがデ・ファクト・スタンダードであるというのは、 > それが他のモノより優れているから多くのヒトに使われるのでは > なくて、それがたんに多くのヒトに使われているから多くのヒトに > 使われているにすぎないということであるのです。 > まさに、「自己循環論法」にほかならないのです。 インターネットの検索サービスも「情報を流通させるための媒体」 です。 私はグーグルの動きには、デ・ファクト・スタンダードの地位を獲得 するために米国企業が持つ凄まじいまでの執念を感じます。 マイクロソフトと同じDNAを感じます。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [グーグルの衝撃] グーグルが標準になるということ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= グーグルは検索エンジンとして非常によくできていたから、多くの 人がグーグルを使うようになりました。 日本語でも「ググる」と言いますが、英語でも'google'は動詞として 使われています。 しかし、そのうち、「多くのヒトに使われているから多くのヒトに 使われている」という状況になります。 そこで起きることは次のようなことです。 > サービス提供者が「個」に対して「あちら側」での利便性を提供する。 > 「個」がその利便性を享受するために、色々な情報を「あちら側で > オープン」にしていく。「個」が「あちら側でオープン」にした情報 > をサービス提供者が集積し「全体」としての新たな価値を創出する。 > これが、Web2.0時代のサービスの構造である。 > > (梅田望夫著「ウェブ進化論」より) かつてPCの世界で、Windowsがデ・ファクト・スタンダードとなった時、 世界中のソフトウェア会社がWindows上で動く様々なソフトウェアを 開発し、それがさらにWindowsのデ・ファクト・スタンダードを強固な ものにしました。 それと似たことが、グーグルでも起こります。 世界中の利用者の情報がグーグルに集積される。 →グーグルはその膨大な情報を利用して新しいサービスを提供する。 →さらに新たに莫大な情報が集積される。 という循環が始まるのです。 ネットでデ・ファクト・スタンダードの地位を獲得したグーグルは、 かつてのIBM、マイクロソフト以上の巨人になるでしょう。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [グーグルの衝撃] 猛烈な価格破壊が起きる(?) *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= では、今後ソフトウェア会社はどうなるのでしょうか? > ネットの「あちら側」では、ありとあらゆるリソースが自在に融合 > され始めている。それがWeb2.0の核心だ。 > 「はてなマップ」の開発に1週間しかかからないのだとすれば、 > いずれ「あちら側」のサービスのコスト構造は、「こちら側」の > システムのコスト構造の何万分の一になってしまう。 > > (梅田望夫著「ウェブ進化論」より) そして、次の10年間でシステム開発において猛烈な価格破壊が 起きるというのが、梅田望夫氏の予測です。 > それだけのコスト差が出れば、徐々に経済合理性が働き、少しずつ > 大企業の情報システムも「あちら側」「開放性」といったキーワード > で動き始める時がやってくる。 > チープ革命とWeb2.0が手に手を取り合って進展することで訪れる > その時に、IT産業は再び大激震に見舞われる。 > それが「次の10年」の間に必ず起こるはずだ。 > > (梅田望夫著「ウェブ進化論」より) しかし、私の意見は違います。 次号以降では、この点について解説します。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。 グーグルの衝撃シリーズ: ・ウェブサービス時代のソフトウェア会社のあり方 ゴーイング・コンサーンシリーズ: ・取引コスト ・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。 ・メリーチョコレートを支えている人事制度。 ・IPOとゴーイング・コンサーン 財務系 ・資産と費用 法務系: ・コンプライアンス ・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権 労務系: ・裁量労働制 営業系: ・売れる営業マン 次号は、9月18日発行予定です。 乞うご期待!! *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 本メルマガについて *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。 創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、 本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、 目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。 したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び 慶と契約している個人事業主を想定しています。 彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。 また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、 ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、 第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する ことにしました。 「まぐまぐ!」での読者数は2006年9月10日現在、548名です。 本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非 本メルマガの存在を教えてあげてください。 (以下をそのまま転送するだけです。) --------------------------------------------------- 【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】 ⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または http://www.kei-it.com/sailing/ -------------------------------------------------- このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm (但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。) 発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ (発行者Webサイトではバックナンバーの全文検索も可能です。) バックナンバーはブログでも公開しています。 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp Webシステム開発事業部 http://www.kei-ha.co.jp ITサービス事業部 http://www.kei-it.com 人材コンサルティング事業部 http://www.k-bank.jp TEL:03-5951-8490 ☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆ ☆ このメルマガに対するご感想・ご質問はこちらにお寄せください。 ☆ office@kei-ha.co.jp |
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