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○:その他

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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第149号  2006/10/16
  ▼  まえがき
  ▼  [慶2.0] (1)新シリーズ「慶2.0 本当の大変化はこれから始まる」
  ▼  [慶2.0] (2)普通の中小ソフトウェア会社の貸借対照表
  ▼  [慶2.0] (3)売掛金と買掛金の差額
  ▼  [慶2.0] (4)ソフトウェア研究・開発
  ▼  [慶2.0] (5)チープ革命はソフトウェア資産を圧縮する
  ▼  [慶2.0] (6)「売掛金と買掛金の差額」はチープにならない
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

私が理事を務める業界団体「羅針盤21」で下記の研修会を行います。

日時:10月20日(金)15:00〜17:00
会場:株式会社ジェーケーエス4F会議室(駒込) 
議題:「中小ソフトハウス経営を本音で語る」(株)慶のケース
講師:株式会社慶 蒲生嘉達


基本的には「羅針盤21」会員向けの研修会ですが、席が空いて
いれば、非会員でも出席できるかもしれないので、出席希望者は
 office@kei-ha.co.jp までメールをください。



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  [慶2.0] (1)新シリーズ「慶2.0 本当の大変化はこれから始まる」
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今週から新しいシリーズ「慶2.0」を開始します。

先の「グーグルの衝撃」シリーズで、ソフトウェア業界の近未来を
予測しました。
その近未来予測をベースにして、次の10年で慶(及び類似した中小
ソフトウェア会社)が目指すべき方向性について、組織、営業、企画、
労務など多方面から考察します。

題は「慶2.0」ですが、多くの中小ソフトウェア会社にとっても共通
の課題を扱います。

梅田望夫著「ウェブ進化論」の副題は、「本当の大変化はこれから
始まる」でした。

「慶2.0」の副題も「本当の大変化はこれから始まる」です。



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  [慶2.0] (2)中小ソフトウェア会社の貸借対照表の例
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「図:中小ソフトウェア会社の貸借対照表の例」
http://www.kei-it.com/sailing/shiryou/bs.htm は
ごく一般的な中小ソフトウェア会社の貸借対照表を簡略化したものです。

この貸借対照表を文章で書くと次のようになります。

「資本金と銀行からの長期借入金で8,500万円を調達し、それを次の
 ように使いました。
 ・売掛金と買掛金の差額:4,800万円
 ・ソフトウェア研究・開発:1,400万円

 そして、手元に1,700万円の現金が残っています。
 他に、いずれ返ってくるお金として事務所の敷金と保険積立金が
 合計1,600万円あります。」



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  [慶2.0] (3)売掛金と買掛金の差額
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「売掛金と買掛金の差額」と「ソフトウェア研究・開発」について
簡単に解説します。

まず、「売掛金と買掛金の差額」です。

売掛金とは入金予定のお金です。
つまり、請求書は発行したが、まだ入金されていないお金が売掛金です。
買掛金は、その逆で、まだ支払日が来ていない支払予定額です。

売掛金と買掛金の差額については、第81号で次のように解説しました。

> 小売業なら売上は売った瞬間に現金になり、仕入れは請求書ベース
> なので、「売掛金<買掛金」となります。
> 一方、システム受託開発会社では通常「売掛金>買掛金」となります。
> 入りより出の方が早いのです。
> したがって、多くのソフトウェア会社では、売上が拡大するにつれて
> 銀行からの借入れも増えていきます。
> 
>  (第81号「借入れ依存体質の危険性」より
>  http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/06/post_8fcc.html
>  http://www.kei-it.com/sailing/81-050627.html )


「図:中小ソフトウェア会社の貸借対照表の例」では、売掛金は
7,500万円、買掛金は2,700万円、その差額は4,800万円となっています。
4,800万円は決算時点での数字であり、期中には、これより大きな
金額になることもあります。

一括請負の比率が高まるほど、「売掛金と買掛金の差額」は増えます。
また、一括請負であろうと業務請負であろうと、(協力会社ではなく)
自社要員の比率が高まるほど、「売掛金と買掛金の差額」は増えます。



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  [慶2.0] (4)ソフトウェア研究・開発
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次に、ソフトウェア研究・開発です。

無形固定資産としての「ソフトウェア」については、「ソフトウェア
振替という麻薬」シリーズで詳述しました。

 「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズ:
 第99号「資産としてのソフトウェア」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/10/post_ba48.html
 http://www.kei-it.com/sailing/99-051031.html

 第100号「倒産したベンチャーの貸借対照表」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/11/bs_2c30.html
 http://www.kei-it.com/sailing/100-051107.html

 第101号「マイクロソフトはWindowsを資産計上していない」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/11/windows_1758.html
 http://www.kei-it.com/sailing/101-051114.html


独自商品を開発している会社は、その開発コストをすぐには回収
できないので、自社開発ソフトウェアを無形固定資産として扱う
ことになります。
しかし、「負債を手に入れ、資産だと思いこむ」(第101号参照)
場合もあるので、その内容には注意が必要です。


[PR]慶の独自商品
 行政ナビ:http://www.kei-it.com/gyonavi/
 プラノPOS:
 http://www.kei-ha.co.jp/img/topic_nikkeisangyo060904.gif



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  [慶2.0] (5)チープ革命はソフトウェア資産を圧縮する
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第147号で、「チープ革命が進行したWEB2.0の世界では、資金さえ
多くは必要なくなってくる」と述べました。

 第147号「市場から調達するか、少数の供給者から調達するか」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/10/post_aaa7.html
 http://www.kei-it.com/sailing/147-061002.html 


チープ革命は、無形固定資産としてのソフトウェアには強力に作用
します。

オープンソースをハッキングしたり、無料または無料に近いウェブ
サービスAPIを活用することによって、自社製品・サービス開発費は
低下するはずだからです。

また、第100号「倒産したベンチャーの貸借対照表」でビジネスモデル
系ベンチャーのソフトウェア資産について次のように書きました。

> ほとんどのビジネスモデル系ベンチャーのソフトウェア資産は利益を
> 生み出せません。
> また、仮に多少利益を生み出せたとしても、そのソフトウェア資産の
> 耐用年数は非常に短いのです。


昨今のIT、特にWeb系の変化は非常に激しいので、(ビジネスモデル系
ベンチャーほどではありませんが)ソフトウェア会社のソフトウェア
資産の耐用年数も短くなってきています。
税法上の3年間という償却期間を待たずに陳腐化してしまうです。


上記二つの理由から、無形固定資産としてのソフトウェアは圧縮の
方向に向かわなければなりません。



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  [慶2.0] (6)「売掛金と買掛金の差額」はチープにならない
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一方、「売掛金と買掛金の差額」には、チープ革命は作用しません。
ソフトウェア請負開発をしている会社の「売掛金と買掛金の差額」は、
これからの10年間も、やはり、売上高に比例して増えていくことに
なります。
ソフトウェア請負開発という業態を変えないかぎりは、・・・。

つまり、ソフトウェア請負開発会社にとって、資金調達は依然として、
極めて重要な問題であり続けるということです。



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  次回以降の予告
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次号以降では、資金調達、資本政策などから話を始めようかと
思っています。


次号は、10月23日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年10月14日現在、555名です。


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