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************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ************************************************************** 第25号 2004/05/24 ▼ まえがき ▼ [金持ちソフト会社]粗利率 ▼ [金持ちソフト会社]限られた粗利を有効に使う ▼ [金持ちソフト会社]理想の財務 ▼ [金持ちソフト会社]一列に並んだバケツ ▼ 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達です。お疲れ様です。 本メルマガは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している 個人事業主の方々に配信しています。 感想をお持ちなら是非返信してください。 今回も「金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社」シリーズです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 粗利率 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 粗利率(売上総利益率)というものは仕事の性格によってほぼ 決まります。 準委任の場合、富士ソフトABCやCECのように大きな会社でも慶の ような小さな会社でも粗利率はあまり変わりません。 技術者のレベルによって単価に差はありますが、粗利率は大差 ありません。 元請と技術者を抱えている会社はリスクを取っているので粗利率が 高く、間に入っているだけのブローカー的会社は低いという差は ありますが、それはビジネスモデルの中での役割の差によるもの です。 一方、請負の場合はプロジェクトによって粗利率に大きな差が出ます。 しかし、赤字の方向で大きな差が出るのであって、黒字の方向では ある一定の限界があります。 破綻したプロジェクトは売上の数倍の赤字を生んでしまいます。 その場合、例えば-200%というような恐ろしい粗利率になることも あり得ます。 しかし、どんなに成功したプロジェクトでも粗利率はせいぜい30%です。 1対1の請負というビジネスモデルではその程度が粗利率の限界 なのです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 限られた粗利を有効に使う *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= したがって、より有利なビジネスモデルを考え出し、粗利率を高める という方向で努力することは重要です。 しかし、画期的なビジネスモデルを考え出すということは容易なこと ではありません。 また、画期的なビジネスモデルが生まれた場合には、すぐにその ビジネスモデル内での競争が激化し粗利率が低下してしまいます。 例えば、プロバイダーやレンタルサーバは登場した当時は儲かる 商売でしたが、今ではほとんど利益の出ない商売になっています。 したがって、まず所与のビジネスモデルの中でやり方を洗練し、 そのビジネスモデルを少しでも改善していくことが肝要です。 第24号で「WEB事ならKSFWで1対多の商売をする、IT事なら一人の 営業がもっと多くの技術者の面倒を見ることが重要です」と書いた のはそのような意味です。 そして、もう一つ重要なことは、限られた所与の粗利を有効に使う ことです。 ロバート・キヨサキは「金持ち父さん 貧乏父さん」で、貧乏人の 最大の問題は、お金を稼ぐ力が不足していることではなく、稼いだ お金の使い方を知らないことであるという意味のことを言っています。 貧乏人は宝くじやギャンブルで大儲けしても数年経つと再び貧乏人 に戻ってしまいます。 収入が多く、大金持ちだと思われていたスポーツ選手や芸能人が、 実は借金まみれであったということはよくあることです。 収入が増えても支出も増えるから、お金に困る人はいつまでたっても お金に困るのです。 下記は「金持ち父さん 貧乏父さん」からの引用です。 > 人生で大事なのはどれだけのお金を稼げるかではなく、 > どれだけのお金を持ち続けることができるかだ。 > 彼らの受けた教育に不足しているのは「どうやってお金を稼ぐか」 > ではなく「お金をどう使うか」、つまり「お金を稼いだあとどう > するか」だ。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 理想の財務 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 第14号で、売上高、売上原価、粗利(売上総利益)、販管費、 営業利益、当期利益の関係を解説しました。 その関係を「図1.基礎知識の復習」(添付ファイル参照)に図示 しました。 第24号で解説した「利益の天引き」という発想に基づく財務を 「図2.利益の天引き」「図3.蓄えられた利益の動き」 (添付ファイル参照)に図示します。 以下はそれらのついての解説です。 @天引きされた利益は資産として蓄積することも、含み益としても 蓄積することも、あるいは半分資産、半分含み益として蓄積する こともできます。図2、図3は半分資産、半分含み益として蓄積 した場合の図です。 A含み益として蓄積する場合は当初は販管費を増やす負の効果が あります。 Bしたがって、営業利益、税金、当期利益は減ります。 しかし、実際にはそれほど減らないかもしれません。 毎月一定額を給料から天引きして貯金している人と、毎月余った お金を貯金している人との違いを思い浮かべてください。 前者の方が月初の現金が不足しているため注意深く現金を使います。 そして後者は実際にはお金が残りません。 会社でも同様のことが言えます。利益を天引きした会社は販管費を 注意深く使うでしょう。 Cその結果として、たとえ粗利率が同じでも、実質的な利益は、 利益を天引きしない場合と比べて大きくなります。 D当期利益は貸借対照表の資本の部で剰余金として蓄積されます。 E年々売上は拡大します。しかし粗利率はそれほど変化するものでは ありません。それを図3の損益計算書で表現しています。 F売上が拡大するにつれて、蓄積された利益も剰余金も拡大して いきます。 G蓄積された利益は、特別の用途をもった販管費に使うことが できます。通常の業務で使う販管費は通常の粗利から捻出され なければなりません。 また、売掛・買掛の差額から来る恒常的な資金需要は長期借入金 で調達する必要があります。 特別な用途として次のようなことが考えられます。 ・不測の事態が起き、資金不足が発生したとき (取引先の倒産、請負プロジェクトの破綻) ・社員旅行のような特別なイベントが発生したとき H蓄積された利益は、新規事業の資本金となり、新規事業の売上原価 または販管費に使われます。 事前にどんなに計画しても新規事業にリスクは付き物です。 したがって、新規事業への投資は通常の粗利から捻出されるべき ではなく、蓄積された利益またはそれを元手にした別事業体で 行われるのが理想です。 別会社にしなくとも独自の貸借対照表を作れば、仮想的に別事業体 にできます。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 一列に並んだバケツ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 下記はマーク・ヴィクター・ハンセン&ロバート・アレン著 「お金持ちになれる1分間の魔法」からの引用です。 > 一列に並んだバケツの中に、銀行口座からお金が流れ込むところ > を想像してほしい。最初のバケツは非常用。10%の貯金を最初は > そこに流し込み、最低でも3か月分の生活費が口座に貯まるまで > これを続ける。この最初のバケツがいっぱいになったら、あふれた > 10%を今度はほかの3つのバケツ−保守的な投資、やや攻撃的な > 投資、非常に攻撃的な投資−のどれかに流し込む。 「お金持ちになれる1分間の魔法」は個人向けに書かれた本ですが、 お金を「非常用」「投資用」に分けて管理するという発想は企業が お金持ちになるためにも重要です。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次号は、5月31日発行予定です。乞うご期待!! -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp http://www.kei-ha.co.jp TEL:03-5951-8490 携帯:090-1258-6347 |