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************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ************************************************************** 第36号 2004/08/09 ▼ まえがき ▼ [永久運動の設計] ソフトウェア技術は汎用的な人的資産 ▼ [永久運動の設計] 汎用的な人的資産を蓄積した従業員は流動的 ▼ [永久運動の設計] 未経験者を採用するソフト会社の悩み ▼ [永久運動の設計] スタッフ確保の重要性と楽しさ ▼ 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達です。お疲れ様です。 暑中お見舞い申し上げます。 本メルマガは2003年12月8日に創刊され、第32号(2004年7月12日号) までは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している個人 事業主の方々のみに配信していました。 しかし、第33号からは一般の方々にも公開します。 http://www.kei-it.com/sailing/ を参照してください。 ここでバックナンバーを見ることができますし、バックナンバーの 全文検索もできます。 読者数が増えれば、掲示板も設定し、ソフトウェア業界の情報発信 基地へと発展させていき、業界に新しい流れを作っていきたいと 願っております。 今週号は「永久運動の設計」シリーズです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] ソフトウェア技術は汎用的な人的資産 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 第30号で下記の予告をしました。 > SE・プログラマは町工場の金型職人と同様、人的資産ですが、 > より汎用的な(組織特殊的ではなく)人的資産です。 > > 次号ではソフトウェア会社における従業員について考察します。 数週間遅れましたが、今週号でこの点について考えます。 ソフト会社で最も重要な資産は人的資産です。 「人的資産とは、人間の頭脳のなかや身体のなかにその人間から 不可分な形で蓄積された知識や能力のことです。」(岩井克人) そして、人的資産には汎用的な人的資産と組織特殊的な人的資産とが あります。 > 汎用的な人的資産とは、どのような組織においても通用するような > 知識や能力のことで、たとえば、規格化された道具や機械を操作 > できる能力や、会計処理方法や企業税制の習得や、マーケティングや > 経営管理に関する基礎的な訓練や、技術開発のための科学的な知識 > などです。 > > 組織特殊的な人的資産とは、個々の組織のなかでのみ価値をもつ > 知識や能力のことです。いや、それは知識や能力というよりは、 > ノウハウや熟練といったほうがよいかもしれません。 > (岩井克人「会社はこれからどうなるのか」より) 第30号で例にあげたような金型職人が仕事をするためには個人では 所有できない高価な機械が必要です。 また、金型職人の仕事はニッチな仕事であり、その会社を離れて同じ 仕事を探すのは困難です。 それに対し、SE・プログラマが仕事をするために必要なPCは日用品と 言えるほど安価なものです。また、現在就業している会社を離れても、 同じような仕事を探すのは容易です。 したがって、金型職人の熟練は組織特殊的な人的資産であり、 SE・プログラマの技術は汎用的な人的資産です。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 汎用的な人的資産を蓄積した従業員は流動的 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 第30号では、組織特殊的な人的資産を蓄積した従業員は会社に定着 する傾向があることを述べました。 (http://www.kei-it.com/sailing/30-040628.html 参照) それに対し、汎用的な人的資産を蓄積した従業員は流動的です。 なぜなら、「汎用的な人的資産とは、労働市場において、ヒトが 自分のモノとして自分の労働とコミで売ることのできる知識や能力」 (岩井克人)だからです。 「JavaServlet3年経験」という職歴は、労働市場において、転職に 有利な公的資格と同じような効果を持つのです。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 未経験者を採用するソフト会社の悩み *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 先に「SE・プログラマの技術は汎用的な人的資産です」と述べましたが、 ソフトウェアの分野によって程度の差があります。 特殊な分野に特化したソフトウェア技術は、RDMBSやWEBアプリケーション のようなオープン系アプリケーション開発技術よりも組織特殊的です。 例えば、組み込み系ソフトウェア技術者は下記の点において町工場の 熟練工に似ています。 ・顧客と商流が限定されている。 ・特定の環境に依存する特殊な知識が従業員に蓄積される。 ・従業員は組織を離れるとこれまでに蓄積したノウハウや熟練を 生かせない。 ・その結果として従業員の定着率が高い。 一方、オープン系アプリケーションの受託ソフト会社には一般に 次のような傾向があります。 ・顧客と商流は多様。 ・特殊な環境に依存しない標準的な知識が従業員に蓄積される。 ・従業員は組織を離れてもこれまでに蓄積したノウハウや熟練を 生かせる。 ・その結果として従業員の定着率が低い。 したがって、未経験者を採用するソフト会社の多くは、「教育しても すぐに辞めてしまうので、教育コストを回収できない」という悩みを 持つことになります。 その結果、多くのソフト会社は「未経験者を採用しない、または、 少ししか採用しない」という方針を採用してしまいます。 中途経験者採用中心の会社には別の悩みがありますが、ここでは 触れません。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] スタッフ確保の重要性と楽しさ *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 労働集約的なサービス業で成功するためには、優秀なスタッフの 確保は最重要課題です。 「事業計画がスタッフの数と質を決めるのではなく、確保できる スタッフの数と質が事業計画を決める」と言っても過言ではありません。 そして、どのような事業であろうと優秀なスタッフを見つけることは 難しいことなのです。 > よい管理人を見つけることが不動産で成功する秘訣とも言える。 > 私にとっては不動産そのものよりも、よい管理人を見つけることの > 方が大切だ。 > (ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん 貧乏父さん」より) 下記も「金持ち父さん 貧乏父さん」からの引用です。 一番目はスタッフの確保の重要性を、二番目はスタッフ確保の 楽しさを表現しています。 > この世の中には私たちよりずっと賢い知力が存在するものだ。 > 自分だけの力でそのレベルに到達することもできるが、将来 > その力へと成長する「芽」の助けを借りた方が楽に到達できる。 > 掘り出し物の物件を見つける、自分にあったビジネスを見つける、 > 自分に本当に役に立つ優秀な人間を見つける−こういったことは > すべてデートの相手を見つけるようなものだ。 慶としては、 ・新卒を積極的に採用し、母集団を増やしていきます。 (慶は平成16年4月入社から積極的に新卒採用をしています。) ・人材の流動性が高いことを前提とした制度設計と予算組みをします。 ・中途については出会いを増やします。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次回以降の予告 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 次号は、8月16日発行予定です。乞うご期待!! -------------------------------------------------- このメルマガに対するご感想・ご質問はこちら office@kei-ha.co.jp -------------------------------------------------- このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm (但し、web@kei-ha.co.jp には直接配信しています。) 発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp http://www.kei-ha.co.jp TEL:03-5951-8490 ☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆ |