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************************************************************** _/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/ ************************************************************** 第48号 2004/11/08 ▼ まえがき ▼ [永久運動の設計] 第45号、第46号のおさらい ▼ [永久運動の設計] 大きくなる必要がない理由 ▼ [永久運動の設計] 巨大にならなければならない理由 ▼ [永久運動の設計] 二つの道 ▼ [永久運動の設計] 次回以降の予告:ではどうすればよいのか? *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 蒲生嘉達です。お疲れ様です。 本メルマガは2003年12月8日に創刊され、第32号(2004年7月12日号) までは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している個人 事業主の方々のみに配信していましたが、第33号からは一般の方々 にも公開しております。 発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ で、 バックナンバーを見ることができますし、バックナンバーの全文検索も できます。 読者数が増えれば、ソフトウェア業界の情報発信基地へと発展させていき、 業界に新しい流れを作っていきたいと願っております。 本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非 本メルマガの存在を教えてあげてください。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 第45号、第46号のおさらい *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= 第45号から「会社の規模」について書いています。 --------------------【問題】-------------------- ○売上2億円の会社を5つ作るべきか、売上10億の会社を1つ作るべきか? ○大きくなるか?小さくなるか? 会社は「規模の経済」「範囲の経済」の論理で大きくなる方がよいのか? それとも、コア・コンピタンスに集中し、残りの機能は極力アウト ソーシングする、つまり小さくなる方がよいのか? ------------------------------------------------ 第45号では、重要な基礎知識である「規模の経済」「範囲の経済」 について解説しました。 第46号では、「IT革命の進展により今後は必ずしも大企業が有利では なくなると1990年代に多くの識者は予想したが、現実には大企業の 時代から超大企業の時代になってしまった」という話を書きました。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 大きくなる必要がない理由 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ここで、再び岩井克人氏の意見に耳を傾けましょう。 「会社はこれからどうなるのか」で岩井克人氏が会社の規模について 語っている部分の要旨です。 原文のままではなく、私がリライトしました。 (1)産業資本主義の時代 産業資本主義の時代は、生産設備に関する規模や範囲の経済の時代 でした。 生産設備が大きい方が有利な時代、したがって大企業が有利な時代 だったのです。 しかし、その時代にあっても、生産設備に関する規模や範囲の経済は 無限には続きませんでした。 生産設備に関してはあまり大きくするとさまざまな原因で生産効率が 落ちてしまうのです。 (2)ポスト産業資本主義の時代 しかし、農村からの安価な労働力の枯渇によって、産業資本主義が 行き詰まりました。 そこから来るグローバル化の要求、それを技術的に支えるIT革命、 金融革命によってポスト産業資本主義経済が出現しました。 このあたりのメカニズムについては下記を参照してください。 第8号 http://www.kei-it.com/sailing/08-040126.html ポスト産業資本主義の世界では、標準化の進展によって、モノでも カネでも情報でも、世界中どこでもほぼ同一条件で手に入れられます。 この意味では、規模や範囲の経済の支配が弱まったのです。 第46号で紹介した1990年代の有識者の下記の指摘はこの面では正し かったのです。 ・規模の大小による情報格差がなくなりました。 ・中小企業でも顧客開拓が容易になりました。 ・標準化が進んだことにより企業間での分業が容易になりました。 そのため、広い分野を自足的に行なう巨大企業よりも、専門の分野で 高度な能力を持つ企業同士が連携するほうが効果的になりました。 ( http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html 参照) *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 巨大にならなければならない理由 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= しかし、ポスト産業資本主義経済とは、モノ・カネ・情報の流通に 関する規模や範囲の経済の時代でもあるのです。 グローバル化、IT革命、金融革命によってモノ・カネ・情報の流通に 関する規模や範囲の経済に限界が無くなってしまったのです。 モノ・カネ・情報の流通に関しては、産業資本主義の時代以上に 大きいことが有利になったのです。 例えば次のように。 (1)モノの流通 ・デルによる全世界的なネットワークの構築。 ・アマゾン・ドット・コムのインターネットによる書籍販売。 (2)カネの流通 ・シティ・グループ、バンク・オブ・アメリカなどの巨大総合金融会社 による寡占化。 (3)情報の流通 ・マイクロソフトによるパソコンのOSの独占。 ・ビデオなどの記録媒体の規格。 モノ・カネ・情報の流通に関しては、地球規模で規模や範囲の経済を 追求するグローバル企業の時代となりました。 これが第46号で指摘した「超巨大企業の時代になった」理由なのです。 http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html グローバル企業は地球規模で差異性を見つけ出し、そこから利潤を 生み出すと同時に、急速にその差異性を消し去り、世界中のモノを 標準化していきます。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 二つの道 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= このように考えると、ポスト産業資本主義の時代にあっては、企業には 二つの道があることが分かります。 一つは地球規模で規模や範囲の経済を追求する激烈な競争に参加する という道です。中小企業なら、巨大企業の傘下に入るということでしょう。 もう一つは、標準化の進展によって、モノでもカネでも情報でも 世界中どこでもほぼ同一条件で手に入れられるようになったことを 利用して、モノ・カネ・情報の流通以外の分野で独自の差異性を 見出していく道です。 第46号で紹介した、1990年代の有識者の下記指摘も正しいことだったのです。 ・生産手段が安価になる。 ・重要なのはアイデアとノウハウ。 http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html 参照。 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= [永久運動の設計] 次回以降の予告:ではどうすればよいのか? *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= > 重要なことは、ポスト産業資本主義の時代においては、生産設備 > にかんする規模や範囲の経済の支配から、企業活動が基本的に自由に > なったということなのです。・・・(中略)・・・ > それぞれの会社は、組織の規模や範囲にとらわれずに、独自の差異性 > を創造し維持し拡大していくことに全力を集中することができるよう > になったということであるのです。 > (岩井克人著「会社はこれからどうなるか」より) では、「差異性を創造し維持し拡大する」ということは具体的に どういうことなのでしょうか? 「会社はこれからどうなるのか」にはそこまでは書かれていません。 「差異性を創造し維持し拡大しろ」と言われても、中小企業の経営者、 技術者、営業職、事務職は具体的にはどうしたらよいのか分からず、 困惑するかもしれません。 オンリーワンと言えるような独創的な技術がなければならないのでしょうか? 飛びぬけた営業力がなければならないのでしょうか? 答えは、否です。 次号でその方法が明かされます。 次号は、11月15日発行予定です。乞うご期待!! -------------------------------------------------- このメルマガに対するご感想・ご質問はこちら office@kei-ha.co.jp -------------------------------------------------- このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm (但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。) 発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ -------------------------------------------------- 発行: 株式会社 慶 代表取締役 蒲生 嘉達 y_gamou@kei-ha.co.jp Webシステム開発事業部 http://www.kei-ha.co.jp ITサービス事業部 http://www.kei-it.com 人材コンサルティング事業部 http://www.k-bank.jp TEL:03-5951-8490 携帯:090-1258-6347 ☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆ |