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○:その他

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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第51号  2004/11/29
  ▼  まえがき
  ▼  [永久運動の設計] 小さな会社の方が給料が高くなる
  ▼  [永久運動の設計] システム開発請負会社の過去と現在
  ▼  [5年後のシステム開発] 大失業時代がやってくる?
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。

本メルマガは2003年12月8日に創刊され、第32号(2004年7月12日号)
までは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している個人
事業主の方々のみに配信していましたが、第33号からは一般の方々
にも公開しております。
発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ で、
バックナンバーを見ることができますし、バックナンバーの全文検索も
できます。

ソフトウェア業界の情報発信基地へと発展させていき、業界に新しい
流れを作っていきたいと願っております。

本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
本メルマガの存在を教えてあげてください。



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  [永久運動の設計] 小さな会社の方が給料が高くなる
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その会社が属している業種に「規模の経済」「範囲の経済」がどの程度
はたらくかによって、その会社の適正規模が決まります。

人材紹介業界はもともと規模や範囲の経済がはたらきにくい業界です。
コンサルタント個人の能力に負うところが圧倒的に大きな仕事なのです。
このような業界では、社内にコンサルタントが増えると有能なコンサルタント
は細胞分裂のように独立していきます。

幾つかの理由によって、現在、人材紹介市場は急拡大しています。
しかし、個々の人材紹介会社の規模が拡大することはありません。
会社の数が急速に増えているのです。

ITは人材紹介業界がもともと持っていたこの傾向を強めました。
求職者のスカウトと求人企業への営業をITが容易にしました。

規模や範囲の経済がはたらきにくい世界で無理に大きくなろうとすると、
奇妙な現象が起きます。
大きな会社よりも小さな会社の方が給料が高くなるという現象です。
人材紹介業界ではこれが起きるのです。

その理由は、大きな会社の方が「できないコンサルタント」を抱えてしまう
可能性が高く、それが起点となり、次の循環が起きてしまうからです。

できないコンサルタントを抱えてしまう。
→彼らを満足させる組織・制度を作ってしまう。
→給与の成功報酬部分が減り、固定部分が増える。
→できるコンサルタントがやめていき、組織としての機能が低下する。
→コンサルタントを補充することにより、さらにできないコンサルタントを
 抱えてしまう。


これを防ぐためには、有能な管理者や複雑な管理機構・制度が必要であり、
その育成と維持にまた経費がかかってしまうのです。



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  [永久運動の設計] システム開発請負会社の過去と現在
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システム開発請負会社の場合はどうでしょうか?

システム開発請負業界は人材紹介業界とは異なり、元来、規模や範囲の
経済がはたらきく業界でした。理由は次のとおりです。
・開発マシンが高価。
・開発場所が必要。
・人材育成に時間と費用が必要。
・仕事の発注の流れが何段階ものピラミッド型下請け構造であり、
 上位の階層にいくためには会社の規模や人脈が必要でした。
・大手または大手の系列でなければ、重要な技術情報が入手できま
 せんでした。

したがって、今から10年位前は、システム開発請負会社の最適規模は
社員数150名から250名位でした。
慶の取引先に社歴20年前後、社員数150名から250名の会社が数社
あります。そのような会社は、組織・社風・経営方針にこの時代の
雰囲気を色濃く漂わせています。

しかし、ポスト産業資本主義化はシステム開発請負業においても
規模や範囲の経済を弱める方向にはたらきました。

(1)開発設備(PC、ネットワーク)が劇的に安くなりました。

(2)情報格差がなくなりました。
> コンピュータの世界ではIBMや富士通内部にいなければ最先端の
> 情報が手に入らなかった時代もありましたが、現在では多くの
> 研究者、技術者、企業が最先端の情報をインターネットで公開
> しているので、大企業でなければ手に入らない技術情報は少なく
> なりました。
> (第46号 http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html より)

(3)顧客開拓が容易になりました
> かつては「大手と下請け」「大手の系列」「長年のつきあい」
> という関係で仕事が流れました。
> しかし、インターネットの普及によって顧客や提携相手を全世界的に
> 求めることができるようになりました。
> (第46号 http://www.kei-it.com/sailing/46-041025.html より)

(4)プロプライエタリからオープンに
かつてはメーカの独自仕様の技術でシステム開発をしていたので、
メーカにぶら下がっている方が有利でした。
しかし現在では標準化された技術を使って開発するようになったので、
メーカを頂点とするピラミッド構造は崩れました。
(第7号 http://www.kei-it.com/sailing/07-040119.html 参照)


システム開発請負会社の最適規模は10年前と比べ、明らかに小さく
なっています。
しかし、何名が最適規模かという答えを出すためには、一括請負
ビジネスと準委任請負ビジネスとを分けて考える必要があるでしょう。

これは次号で論じます。



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  [5年後のシステム開発] 大失業時代がやってくる?
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「WEDGE」という雑誌(http://www.wedge.co.jp/ 参照)の12月号に
「SE、プログラマー150万人 大失業時代がやってくる」という
記事が載っていました。論旨は次のようなものでした

(1)世界の最先端の開発手法から、日本の情報サービス・ソフトウェア
 産業は遅れ始めている。
(2)日本人技術者は英語力がないから世界の最先端の開発現場から
 遠ざけられている。
(3)最先端のソフトウェアは米国やその下請けとなっている中国やインド
 を中心に開発されるようになっている。その際の共通語は英語。
(4)日本のソフトウェア会社は優秀で賃金が安い中国人やインド人
 技術者を雇うようになるであろう。日本人ソフトウェア技術者は
 大失業時代の淵に立たされている。


私は(2)(3)は事実だと思いますが、(1)(4)には反対です。
(1)について:
ソフトウェアの「最先端の開発手法」というものは、ハードウェアの
それとは異なり、怪しげなものです。
(第2号「時代が下るに連れて特効薬の効果は逓減している」参照。
http://www.kei-it.com/sailing/02-031215.html )
システム開発の本質的部分は仕様決めであり、それは外国から学ぶこと
ではなく、自ら考え、熟練するものです。

(4)について:
システム開発の本質的部分に真正面から向かい合っている技術者は
職を失うことはありません。
第27号「中高年技術者の職を保証するもの」参照。
http://www.kei-it.com/sailing/27-040607.html




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  次回以降の予告
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次号以降で下記のテーマを取り上げます。
・システム開発受託会社の適正規模。(一括と準委任)
・差異性を創造し維持し拡大する方法。

次号は、12月6日発行予定です。乞うご期待!!


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