メルマガ ソフトウェア業界 新航海術

ホーム

バックナンバー

2010年のシステム開発

航海術


  バックナンバーの全文検索
全バックナンバー(古い号が先)
全バックナンバー(新しい号が先)
5年後のシステム開発
ブルックスの法則
グーグルの衝撃
保存できないエディタ
製造業の呪縛
請負と派遣
永久運動の設計
大きくなるか、小さくなるか
ゴーイング・コンサーン
金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社
経営の基準となる数字
借入れと連帯保証
ソフトウェア振替という麻薬
賃金決定の仕組み
SE・プログラマの資質
○:その他

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第96号  2005/10/10
  ▼  まえがき
  ▼  [賃金決定の仕組み] 空洞化する大手ソフト会社
  ▼  [賃金決定の仕組み] 定着率が悪く、中途採用も難しい
  ▼  [賃金決定の仕組み] 起業する若い人達への苦言
  ▼  [賃金決定の仕組み] 新しいビジネスモデル対応型成果主義の可能性
 ▼  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [賃金決定の仕組み] 空洞化する大手ソフト会社
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

先週、M&A仲介を専門としている会社の営業マンが来社しました。
以下はその営業マンが語ったことの要約です。


 上場している大手IT企業の業績は現在下降気味です。
 ライブドアなどのIT系ベンチャー企業は一見好調ですが、彼らは
 実態はIT企業ではありません。
 ITサービスやシステム開発で儲けているわけではなく、金融で儲け
 ているのです。

 上場しているシステム開発会社は、知名度と信用があるので、
 仕事はいくらでも取れます。しかし、仕事をこなせる人がいません。
 大手システム開発会社でも仕事は常駐型が主流ですが、常駐させる
 技術者がいません。


そして、その営業マンは「実は、慶のように人がある程度いる中小
ソフト会社を買収したがっている上場企業があるんですが・・・」
と切り出しました。

買収の話はお断りしましたが、この話は、大手ソフトウェア会社が
人材面で非常に困っていることを示しています。



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [賃金決定の仕組み] 定着率が悪く、中途採用も難しい
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

大手ソフトウェア会社に人がいない理由は下記の二つです。
・定着率が悪い。
・経験者の中途採用が難しい。

そしてこの二つの根っ子は同じなのです。


第83号「個人事業主が増えた理由」で、技術の標準化とPCの劇的な
高性能化・低価格化が個人事業主を増やしたと述べました。
( http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html 参照)

同じ理由から、転職も容易になりましたし、個人事業主に毛の
生えた程度の小規模な会社設立も容易になりました。

「うちは定着率が高いです」というソフトウェア会社の多くは、
「つぶしの利かない」技術を使って開発している会社です。
制御系に多いです。

ある程度の規模以上で、標準的な技術を使って開発している会社の
定着率はよくありません。
しかもようやく一人前になったレベルの人たちが辞めていきます。

彼らの中には、より待遇のいい会社の正社員になる人もいますが、
自由と独立を求めて、契約社員、個人事業主、起業という選択を
する人も少なくありません。

また、やはり同じ理由で、経験者の中途採用も難しくなっています。
よほど魅力的な待遇を示さないと経験者の中途採用は不可能ですし、
しかも、そのように高給を出して採用した技術者は必ずしも優秀では
ありません。
なぜなら、技術力に自信のある人ほど、個人事業主や起業の選択を
しやすいからです。



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [賃金決定の仕組み] 起業する若い人達への苦言
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

ここで起業する若い人達にほんの少し苦言を呈しておきましょう。

純粋にプログラムが好きでプログラムに専念したい、プログラム
について様々な経験をしたい、また、報酬は個人売上に応じた
成果主義でもらいたいという理由で個人事業主になり、その延長線上で
会社を起こすことは理解できます。

しかし、ヒルズ族を夢見て、お金のためだけに起業したなら、後で
「こんなはずじゃなかった」と思うでしょう。

冒頭に紹介したM&A仲介業者が言うように、ヒルズ族はITサービスで
儲けているわけでも、システム開発で儲けているわけでもありません。
金融で儲けているのです。

ホリエモンの「起業しろ!」という言葉を真に受けて起業した若い
人たちは、残念ながら、ホリエモンのように金融で儲けることは
できません。
多少プログラムが書けても、ちょっとしたアイデアを持っていても、
稼げるお金というものは高が知れているのです。

仮に、彼がものすごく運がよく、(例えば株で大儲けをして)ヒルズ族の
仲間入りしたとしましょう。
喜びもつかの間、彼には地獄が待っているかもしれません。
現在ヒルズ族が我が世の春を謳歌していられるのは、バブル崩壊
以降の日本のデフレ経済が前提です。
日本経済がひとたびインフレに振れたとたんに、彼らは元気がなくなる
でしょう。
インフレの時に元気だったダイエーがデフレになって潰れたのと
ちょうど逆のことが、ヒルズ族にも早晩起きる可能性が高いのです。



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [賃金決定の仕組み] 新しいビジネスモデル対応型成果主義の可能性
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

今度はソフトウェア会社の側から見てみましょう。

技術者が自由と独立を夢見て起業することが自然なことなら、それを
制度として積極的に認めていくべきではないでしょうか?

その一つの方向は、個人事業主のエージェントになるという方向です。
これについては、第87号「ICグループは吉本興業や大野事務所に学べ」
( http://www.kei-it.com/sailing/87-050808.html )
を参照してください。

もう一つは第95号で述べた「新しいビジネスモデル対応型の成果主義」
( http://www.kei-it.com/sailing/95-051003.html 参照)の発展型です。

「新しいビジネスモデル対応型の成果主義」で役職者の責任と権限を
明確に定義していくと、その延長線上に横請け型の分社化があるような
気がします。
(横受け型アウトソーシングについては第78号を参照してください。
http://www.kei-it.com/sailing/78-050606.html )




=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

次号は次のようなテーマで書こうかなと思っています。

・インターネットで稼ぐことは何故難しいか?


次号は、10月17日発行予定です。

乞うご期待!!



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年9月24日現在、428名です。


本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
  http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------



このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。)

発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/
(発行者Webサイトではバックナンバーの全文検索も可能です。)

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/


--------------------------------------------------
発行:
株式会社 慶
 代表取締役  蒲生 嘉達
 y_gamou@kei-ha.co.jp
 Webシステム開発事業部 http://www.kei-ha.co.jp
 ITサービス事業部 http://www.kei-it.com
 人材コンサルティング事業部 http://www.k-bank.jp
 TEL:03-5951-8490

☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆
☆ このメルマガに対するご感想・ご質問はこちらにお寄せください。 ☆
            office@kei-ha.co.jp



[リンク元ページに戻る]    [新航海術ホーム]    [『まぐまぐ!』登録コーナー]

(c)Copyright Kei Co.,Ltd All Right Reserved