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○:その他

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第97号  2005/10/17
  ▼  まえがき
  ▼  [ソフトウェア振替という麻薬] シリーズで書きたいこと
  ▼  [ソフトウェア振替という麻薬] 税金のない世界での借入れと返済
  ▼  [ソフトウェア振替という麻薬] 税金のある世界での借入れと返済
  ▼  [ソフトウェア振替という麻薬] 次回以降の予告


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  まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

・今週号から「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズを開始します。

・第94号でご案内した「新会社法研修会」
 ( http://www.kei-it.com/sailing/94-050926.html )
 には本メルマガ読者から5名の申し込みがあり、全員無料ご招待
 しました。
 まだ、1,2名なら追加可能なので、受講を希望される方は、
 office@kei-ha.co.jp にメールでお申し込みください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [ソフトウェア振替という麻薬] シリーズで書きたいこと
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「ソフトウェア振替という麻薬」シリーズでは次のようなことを
書きたいと思っています。

(1)いくらまでなら借りていいの?
中小企業は通常は銀行からの借入れで資金を調達します。
この借入れの限度額はいくらでしょうか?
銀行が貸してくれるという限度額ではなく、会社として借りてもいい
限度額です。

(2)借入れは納税額を増やす
適正な限度額を決定する要素は、返済能力であり、返済能力とは
どれだけ利益を上げられるかということです。
しかし、100万円の返済をするために100万円利益を出せばよいと
いうわけではなく、税金を考慮すると、140万円利益を出さなければ
なりません。

(3)ソフトウェア振替とは
パッケージや独自サービスを作り出そうとすると、銀行からの借入れは
増大し、それに比例して返済額と納税額は膨らんでいきます。
この納税額を抑える手法として「ソフトウェア振替」があります。
「ソフトウェア振替」とは開発したソフトウェアを資産として計上する
手法であり、返済のかなりの部分が減価償却費として経費化されて、
納税額が減ります。
しかし、このソフトウェア振替には、減価償却というものが一般に持つ
有害な副作用があります。

(4)増資
資金調達のもう一つの手法として、増資があります。
しかし、よほど利益率が高くないとIPOはできないし、数千万円の現金を
持っている中小企業経営者などほとんどいないでしょう。
したがって、作り出そうとしている商品が大きな投資を必要として
いる場合には、大手との資本提携による増資という選択肢もあり得るのです。

(5)その他
米国ソフトウェア会社はソフトウェアを資産として計上することは嫌う
という話も聞きます。その真相は?


借入れ、投資、資産、原価償却、資本金、M&A、といったことを
テーマとするので、体系的には「金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社」
シリーズの中のサブシリーズに位置づけられます。



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  [ソフトウェア振替という麻薬] 税金のない世界での借入れと返済
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話を分かりやすくするために、まず税金のない世界で考えてみましょう。

銀行から1,000万円を返済期間3年で借りたとしましょう。
3年間毎年、元本約333万円を返済するだけでなく、金利も払わなければ
なりません。
金利は元本が減るにしたがって減りますから、大雑把に1年目30万円、
2年目20万円、3年目10万円としましょう。

1年目は元本分333万円+金利分30万円=合計363万円 を銀行に支払わな
ければなりません。

これはたとえ363万円経常利益を出しても会社には現金が残らないことを
意味します。再投資にまわせるお金は0円です。

もしも経常利益が363万円に満たなければ、返済するために新たに借入れを
起こさなければなりません。

それでも30万円の金利分の利益が出ていれば、返した分だけ新たに借入れを
すればよいので、元本は増えません。
もしも30万円の経常利益すら無ければ、金利分も新たに借入れなければ
ならないので、借入れの元本は増え続けることになります。
(現実には新たな借入れをするためには保証金や手数料が発生するので、
元本を増やさないためだけでも、約40万円の経常利益が必要となります。)


また、上記は年利3%程度を前提としています。
金利が今後上昇しそうだという話は、第81号「借入れ依存体質の危険性」
http://www.kei-it.com/sailing/81-050627.html を参照してください。)



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  [ソフトウェア振替という麻薬] 税金のある世界での借入れと返済
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次に税金を考慮してみましょう。

借入れの返済は経費ではありません。
したがって、363万円経常利益が出て、その全額を返済に充てたため、
手持ちの現金が無くなっても、363万円に対する税金は払わなければ
なりません。

税率を40%とすると、363万円×40%=146万円 の税金を払わなければ
ならないのです。

したがって、新たに借入れをせずに返済するためには最低509万円の
経常利益が必要ということになります。

もしも、経常利益が509万円に満たなければ、税金を払うために新たな
借入れをしなければならないのです。

今の日本でひとたび多額の借入れをして、元本を完済しようとすれば、
「元本の1.4倍+完済までに要する年月の金利」分の経常利益が必要と
なります。


会社として借りてもいい限度額は、今後予想される経常利益によって
決定されます。



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  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・会社として借りてもいい限度額(もう少し踏み込んで)
・ソフトウェア振替
・増資


次号は、10月24日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
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第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
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