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第211号 2008/9/23 [慶2.0]
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ソフトウェア業界 新航海術
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第211号 2008/9/23 『本格的な冬の時代に突入する前に』 ▼ まえがき ▼ [慶2.0] (1)営業マンからのメール ▼
[慶2.0] (2)日経コンピュータの楽天的な記事 ▼ [慶2.0] (3)国内IT市場にも景気後退の影 ▼
[慶2.0] (4)営業マンの嗅覚の方が早かった ▼ [慶2.0] (5)恐慌的スタグフレーションが来る ▼
[慶2.0] (6)国内経済の減速傾向は短期的なものではない ▼
[慶2.0] (7)本格的な冬の時代に突入する前に
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まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
蒲生嘉達(がもうよしさと)です。
本日は「新航海術の補足ブログ」の記事「ソフト業界は3月を境に 技術者余りに転じた」を発展させて話します。
「ソフト業界は3月を境に技術者余りに転じた」 http://www.gamou.jp/comment/2008/08/3_fb49.html
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次の言葉は5月21日に慶と親しい会社の営業マンから届いたメールの中に あった一文です。
>
四苦八苦でやってますが状況は技術者が余ってる状況
次は7月1日に別の会社の営業マンから届いたメールの中の一節です。
>
世界的な資源、食料の値上げでインフレの予感がしてきており、 > 景気も停滞気味になってきました。 >
IT業界も期初のスタート遅れの為に案件が薄くなっているのではなく、 > 景気の影響を受けて新規開発が少なくなっているようです。 >
技術者も大分余ってきている様で、良い案件は直ぐ募集停止になって >
しまいます。
現場の営業マンは、春先に異変を感じ、5月までには「技術者余り」を 確信していました。 また、6月末までには、その原因が「期初のスタート遅れ」のような 一時的なものではなく「景気」であることも見抜いていました。
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一方、日経コンピュータ7月15日号では次のような楽天的な記事が 載っていました。
○2008年以降の国内IT市場動向 景気減速でもIT投資は堅調 時代は「デジタルユニバース」へ
IDC
Japanは国内IT市場の実績と予測をまとめた。 2008年のIT投資の伸び率予測は2.6%増で、12兆7032億円。 07年実績比3180億円の増加となる。 金融業や製造業などの産業が引き続き成長するのに加え、 通信業界におけるNGN関連需要が高まる。 景気減速にもかかわらず、堅調に推移する見込みだ。
この記事では国内経済の減速傾向は短期的なものであること、 さらには、原油高などの悪材料にかかわらず、IT投資は継続して 拡大していくと予測しています。次のように・・・。
これまで日本経済を牽引してきた外需型産業の業績に陰りが 見られ、低調な個人消費と相まって、国内経済は短期的に
減速傾向が強まると見込まれる。
最近の原油高、原材料高、グローバル競争の激化から、 さらなるコスト削減や効率化が必須であり、IT投資は継続して
拡大していくと予想される。
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この記事のみならず、日経コンピュータには8月末までは、景気の 悪い記事は一つも出ていませんでした。
私は「日経コンピュータは中小ソフト会社の実感とずれている」と 感じながら、8月9日に「ソフト業界は3月を境に技術者余りに転じた」 をブログに書きました。
「ソフト業界は3月を境に技術者余りに転じた」 http://www.gamou.jp/comment/2008/08/3_fb49.html
それからしばらくして、日経コンピュータ9月1日号が届きました。
9月1日号では一転して次の記事が出ていました。
○国内IT市場にも景気後退の影 4〜6月期は4割減益、中堅以下で減速目立つ
景気後退の影響が国内IT市場に早くも出始めた。 主要情報サービス会社の2008年4〜6月期(第1四半期) 決算を集計したところ、連結営業利益が前年同期より 39%も減った。商談の長期化などが響いた。 特に中堅クラスの苦戦が目立つ。
顧客企業がIT投資を抑制し始めたことを指摘し、「ここ数年活況を 呈してきた情報サービス産業は確実に転換期を迎えつつある」と 結論づけています。
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コンサルタント、学者、マスコミの記者は、統計数字(上記記事では 主要情報サービス会社の2008年4〜6月期決算)が出てから分析します。
したがって、情勢が大きく変わる局面では、3ヶ月から半年のタイム ラグが発生してしまうのです。
そのような局面では、彼らよりも現場の営業マンの嗅覚の方が早くて 正しいことがよくあります。
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世界経済と日本経済の動向について、堺屋太一氏が次の記事で 説得力のある分析をしていました。
・恐慌的スタグフレーションが来る(文藝春秋2008年9月特別号) ・零戦型ものづくりが日本を滅ぼす(文藝春秋2008年10月号)
「新航海術の補足ブログ」にその抜粋を載せておきます。
「恐慌的スタグフレーションが来る」の要約 http://www.gamou.jp/comment/2008/09/211-d868.html
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上述のとおり、日経コンピュータ7月15日号の記事「2008年以降の
国内IT市場動向」では、国内経済の減速傾向は短期的なものであると 予測していましたが、「恐慌的スタグフレーションが来る」を読めば、 それが間違いであることが分かります。
世界経済が最短で来年一杯、長引けば数年間、危険な状態にあるの ですから。
また、同「2008年以降の国内IT市場動向」では、原油高などの悪材料にも
かかわらずIT投資は継続して拡大していくと予測していましたが、
一昔前と違い、今は景気が悪くなればIT投資もすぐに抑制されてしまいます。
日経コンピュータ9月1日号の記事「国内IT市場にも景気後退の影」で 分かるとおり・・・。
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>
ここ数年活況を呈してきた情報サービス産業は確実に転換期を迎え > つつある。各社は本格的な冬の時代に突入する前に、構造改革を >
急ぐべきだろう。
日経コンピュータ9月1日号の記事「国内IT市場にも景気後退の影」の 結びの言葉です。
慶も次のような改革に取り組んでいます。
・Ruby
on Rails
など生産性の高い開発技術の導入
・オープンソースの活用 →その一つとしてAipoによる社内コミュニティの活性化
・ITによる社内事務の効率化 →ソフト会社はこの点「紺屋の白袴」的なところがあります。
・自社製品のWEBサービス化 →現在取り組んでいるのは性格診断プログラムのWEBサービス化です。
・積極的なエンドユーザ営業 →成果が出始めています。
・社員の採用と育成
そして、このような改革には費用がかかります。 拙著「ソフト会社の心臓」で述べたように、心臓の鼓動を聞きながら 進める必要があるのです。
ソフト会社の心臓: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4779002958/keiitteanifty-22
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