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第231号 2010/10/9 [技術動向]
仮想化の原型
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ソフトウェア業界 新航海術
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第231号 2010/10/09 『仮想化の原型』 ▼ まえがき
▼ [技術動向] (1)ぼくを新たな高みへと引き上げてくれた本
▼ [技術動向] (2)1989年に日本語版が出版されたとき
▼ [技術動向] (3)20年前は軽く読み飛ばした章
▼ [技術動向] (4)マルチプログラミングと拡張マシンを分離
▼ [技術動向] (5)仮想化の原型
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まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
株式会社慶の蒲生嘉達です。
今回は、仮想化技術の原型となったIBMのVM/370について話します。
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[技術動向] (1)ぼくを新たな高みへと引き上げてくれた本 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
アンドリュー・タネンバウム著「MINIXオペレーティング・システム」 (原題:
Operating Systems: Design and Implementation
)は Linux誕生のきっかけとなった名著です。
Linuxを開発したリーヌス・トーヴァルズ氏は、この本について 「ぼくを新たな高みへと引き上げてくれた本」と言っています。
>
リーヌス・トーヴァルズは、先述のオペレーティングシステムの > 教科書の一つ Operating Systems: Design and
Implementation と > MINIX に強く刺激を受け、これをきっかけとしてLinuxカーネルを >
開発した。 > リーヌスは、自叙伝 "Just For Fun" (風見潤訳 『それがぼくには > 楽しかったから』)
で、その教科書について「ぼくを新たな高みへと > 引き上げてくれた本」と、述べている。 (
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%8D%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%A0
)
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[技術動向] (2)1989年に日本語版が出版されたとき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
「MINIXオペレーティング・システム」の原著は1987年に出版され、 1989年に日本語版が出版されました。
「MINIXオペレーティング・システム」の最新版: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894717697/keiitteanifty-22
全部で700ページ以上の大著です。 その中にMINIXのソースコードが約200ページ含まれています。
1989年に日本語版が出版されたとき、私も購入し、本文は全て読み、 MINIXのソースコードも半分位読みました。
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[技術動向] (3)20年前は軽く読み飛ばした章 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
「MINIXオペレーティング・システム」の中の「1.5 オペレーティング・ システムの構造」の節に「1.5.4 仮想マシン」という章があります。
20年前は「UNIXやPCには関係ない」と軽く読み飛ばした章ですが、 PCでの仮想化が当たり前になった今読むと実に面白いです。
「1.5.3 仮想マシン」の章はわずか1ページの短い章です。
その8割程度を「新航海術の補足ブログ」の下記記事に引用しました。 「仮想マシン」の誕生の経緯とその本質が、簡潔に分かりやすく、 魅力的に書かれています。
[新航海術の補足ブログ]仮想マシンの誕生 http://www.gamou.jp/comment/2010/10/post-e116.html
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[技術動向] (4)マルチプログラミングと拡張マシンを分離 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
VM/370はIBMが1970年に製品化したシステムです。
タネンバウム氏はVM/370を「かなり鋭い考察に基づいている」と ほめています。
その理由は次のとおりです。
○当時最も求められていた機能は時分割システムであり、 ○時分割システムは次の2つの機能を持つことであり、 ・マルチプログラミング ・裸のハードウェアより便利なインターフェイスを備えた拡張マシン ○そして、VM/370はこれら2つの機能を完全に分離した。
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[技術動向] (5)仮想化の原型 *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
VM/370はマルチプログラミングのみを担当するレイヤです。
それによって提供される仮想マシンは、裸のハードウェアの正確な コピーであり、カーネル/ユーザモード、入出力デバイス、割込み および実際のマシンが持っているその他すべてが含まれています。
しかし、ファイルやその他の便利な機能は備えていません。
仮想マシンは実際のハードウェアと同一なため、そのハードウェア上で 直接実行できるオペレーティング・システムならどれでも実行できます。
現在流行っている仮想化の原型はここにあります。
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