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第218号 2009/4/15 [慶2.0]
1990年のバブル崩壊と今回の不況の違い
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ソフトウェア業界 新航海術
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第218号 2009/4/15 『1990年のバブル崩壊と今回の不況の違い』 ▼ まえがき ▼
[慶2.0] (1)健保組合の被保険者数が1年で3,800名減る ▼ [慶2.0] (2)仕事量の減少と下請け切り ▼
[慶2.0] (3)今回の方が閉塞感が漂っている ▼
[慶2.0] (4)慶の方針
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まえがき *=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
蒲生嘉達(がもうよしさと)です。
大手SIerの状況について数字的根拠を持って説明した記事は、 ネットや雑誌でよく見かけます。
例:「SIerの通期見通しに下方修正相次ぐ
理由は金融危機とIT投資抑制」 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090325/327173/?ST=solution
しかし、中小ソフト会社の状況について数字的根拠を持って説明した 記事は皆無だといっても過言ではありません。
経営数字を公開している上場企業と公開していない中小企業との 違いでしょう。
本日は中小ソフト会社の状況を示す生々しい数字から話を始めます。
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2月末、慶が加入している健康保険組合から「平成21年度事業計画 ならびに予算概況について」という資料が届きました。
そこには次のようなことが記されていました。
・平成20年度の被保険者数は192,600人だったが、平成21年度は 188,800人に減ること(3,800名減)が予想される。
・ここ数年、着実に増えてきた被保険者数が前年割れとなるのは、 バブル経済が崩壊した平成4年度以来である。
・報酬月額は、前年比1,100円減、賞与額(年間)は57,825円減と 予想される。
この健康保険組合の加入事業所の大部分は中小ソフト会社です。
被保険者数が1年で3,800名減る・・・中小ソフト会社の窮状を示す 生々しく痛々しい数字です。
詳しくは、新航海術の補足ブログの下記の記事をご覧ください。
「T健保の被保険者数が平成21年度は3,800名減る」 http://www.gamou.jp/comment/2009/04/t213800-b116.html
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上記「被保険者数が前年割れとなるのは、バブル経済が崩壊した 平成4年度以来」という言葉で分かるとおり、今回の不況はバブル 崩壊時に匹敵するダメージを中小ソフト会社に与えています。
今回の不況と1990年のバブル崩壊とは、次の点ではそっくりです。
・仕事の総量が激減した。 ・大手SIerやメーカは自社の社員の仕事量を確保するために、 下請けを削減した。(いわば「下請け切り」)
但し、「下請け切り」については少し異なっている点もあります。
大手SIerは90年代に外注比率を大幅に増やしています。
そのため、「下請け切り」はバブル崩壊前と比較して、今回の方が 影響の範囲と階層が広がっています。
関連記事: 第204号:ソフトウェア業はもともとは多重階層型でなかった [Blog]
http://www.gamou.jp/sailing/2008/05/post_2eb8.html [HP]
http://www.kei-it.com/sailing/204-080510.html
[新航海術の補足] 90年代に大手ソフトウェア会社の外注比率が激増した理由 http://www.gamou.jp/comment/2008/06/206_8aac.html
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また、1990年のバブル崩壊と今回の不況とは、次の点で異なっています。
(1)業種
バブル崩壊のときには、証券や銀行の仕事が激減しました。 しかし、流通、メーカーなどシステム開発が増えている業種もありました。
一方、今回は全業種の仕事が減っています。
(2)技術
バブル崩壊のときは、汎用機の仕事は減りましたが、オープン系の 仕事は逆に増えつつありました。 NetWare、WindowsNT、Oracle、VB、エンドユーザコンピューティング、 クライアント・サーバ、ダウンサイジング、スパイラル開発が当時の 新しい流れでした。
技術者はこぞってオープン系の技術を身につけようとしました。 そこで、技術者の移動が起きました。
一方、今回は、COBOLの仕事も、Cの仕事も、Javaの仕事も一様に 減っています。
つまり、技術者の移動が起きていないのです。
今いる場所で縮こまっている感じです。
そのため、私は、今回の方がソフト会社や技術者に閉塞感が漂って
いると思います。
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慶は今回の不況に対し次の方針で臨んでいます。
(A)まず既存のビジネスをしっかりと
当たり前のことですが、既存顧客へのルート営業、地道な労務管理、 無駄な経費削減を徹底します。
(B)基幹系
基幹系ソリューションプロバイダとの緊密な関係を築きつつあります。 国際会計基準の導入によって基幹系の仕事は増えると予測しています。
(C)自社サービス
現在、5月カットオーバーに向けて自社サービスを開発中です。
そのビジネスプランは、東京都から
「中小企業新事業活動促進法に 基づく経営革新計画」の承認を受けました。(20産労商支第790号)
詳しくは、新航海術の補足ブログの下記の記事をご覧ください。
「慶のビジネスプランが経営革新計画承認」 http://www.gamou.jp/comment/2009/04/post-7d08.html
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慶 代表取締役 蒲生 嘉達
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