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ソフトウェア業界 新航海術
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第246号 2012/12/9 『青首大根が市場を制した理由』
▼ まえがき
▼ (1)江戸時代の多様性、現代の均一性
▼
(2)既存流通による弊害として語られる
▼ (3)種を作る側からの視点
▼ (4)作型とは
▼
(5)消費者ニーズ、生産者の都合、流通の効率性
▼ (6)「青首大根」とは標準化された規格、実装は多様
▼
(7)品種改良努力が青首大根のヒットを支えた
▼ あとがき
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おすすめ商品
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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。
今回は大根についての雑談です。
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(1)江戸時代の多様性、現代の均一性
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江戸時代には各地で様々な大根が開発されました。
尾張大根、宮重大根、練馬大根、三月大根、夏大根、守口大根、
桜島大根、赤大根、紫大根、黒大根、・・・etc.
しかし、現在、流通しているダイコンの大部分は「青首総太り品種」です。
首が緑を帯び(=青首)、首から先までほぼ均等に肥大した(=総太り)
品種です。
以下「青首総太り品種」を「青首大根」と呼びます。
三浦大根で有名な神奈川県三浦半島でも、99%が青首大根になっている
そうです。
(三浦市農協のホームページ
http://www.ja-miurashi.or.jp/tokusan/daikon.html 参照)
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(2)既存流通による弊害として語られる
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青首大根が市場を制したことは、既存流通による弊害として語られる
ことがあります。
例えば、次のように。
・中央卸売市場、仲卸会社、JAが物流の中心となったことで、流通の
効率化に有利なように、野菜の画一化、規格化が進んだ。
・三浦大根は美味しいが、大きいことと、ひし形のため段ボールへ
積みにくく輸送効率が悪いから、市場から駆逐された。
農産物流通の段階については下記記事を参照してください。
[新航海術]第243号:デコポン (2)農産物流通の段階
Blog版:
http://www.gamou.jp/sailing/2012/04/post-37be.html
HP版:http://www.kei-it.com/sailing/243-120401.html
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(3)種を作る側の視点
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「タキイ最前線」はタキイ種苗株式会社が発行して、無料で配っている
情報誌です。
その2013冬春号に「野菜の作型と品種生態 第12回 アブラナ科各論
(4)ダイコン」という記事がありました。
種を作る側の視点で青首大根問題が書かれているので面白かったです。
その中に次の一文がありました。
>
周年供給のための一セットの品種群を一つの野球チームにたとえれば、
> 現在のダイコンチームは、全選手が青首総太りというユニフォームを
>
着ながら、それぞれの守備範囲(作型)に応じた技能(この場合は
> 生態特性)をもったチームといえます。
>
これに対して、江戸時代のチームは、‘三月大根’や‘夏大根’など、
>
バラバラの服装のチームです。
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(4)作型とは
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ここで出てくる「作型」という概念は農業で重要です。
「周年供給」「周年栽培」とも密接に関連しています。
>
作型(さくがた、さくけい)とは、農業特に野菜、果樹、花などの
> 園芸作物において、自然条件とは異なる時期に栽培を行おうとする時に
>
設定される様々な条件・技術の組み合わせのこと。(Wikipedeiaより)
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(5)消費者ニーズ、生産者の都合、流通の効率性
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農家が青首大根を選択した理由として、三浦市農協は次のように
消費者ニーズと生産者の都合をあげています。
>
甘みと小振りなサイズが消費者ニーズに合い、台風被害後のまき直しでも
> 威力を発揮したことや、三浦ダイコンに比べ栽培が容易で多収、
>
軽量で作業が省力化されるという生産者側にとっても好ましいことなどから、
> わずか2〜3年で切り変わってしまいました
> ( http://www.ja-miurashi.or.jp/tokusan/daikon.html
)
消費者ニーズ、生産者の都合、さらに流通の効率性の要請があったことは
確かでしょう。
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(6)「青首大根」とは標準化された規格、実装は多様
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「タキイ最前線」の記事が面白かったのは、「青首総太り」は
ユニフォームであり、中身(生態特性)は江戸時代の大根同様、
多様なのだという指摘です。
これをIT業界風に説明してみましょう。
「青首大根」とは標準化された規格のようなものです。
規格が統一されているから流通の効率化に有利です。
しかし、周年でその規格を実現するためには、実装は異なります。
作型(秋まき、冬・春まき、夏まき)によって生態特性の異なる
品種が選ばれます。
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(7)品種改良努力が青首大根のヒットを支えた
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そして、「タキイ最前線」の先の引用は次の文章につながっています。
>
チーム各員の技能を維持しながら同じ外観にすることは、
> 外観も複雑な遺伝性であることから、それだけ多くの品種改良努力が
>
なされたわけです。
多くの品種改良努力が青首大根のヒットを支えたということは、
少し感動的な、あるいは、考えさせられる話ではないでしょうか。
大根を食べるときに思い出してください。
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あとがき
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野菜についての雑談は他に次の記事があります。
[新航海術]第240号:地這いキュウリ
Blog版:
http://www.gamou.jp/sailing/2011/09/post-6391.html
HP版:http://www.kei-it.com/sailing/240-110919.html
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