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第250号  2013/12/22 [業界動向]

法人税を払って内部留保を溜めていく

 

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第250号 2013/12/22 『法人税を払って内部留保を溜めていく』
▼ まえがき
▼ (1)アベノミクスが最後のチャンス
▼ (2)ソフト業界はアベノミクスよりも先に回復に転じていた
▼ (3)法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営
▼ (4)内部留保を溜めて一株の価値を高める
▼ (5)きちんとやれば黒字になる時代だからこそ
▼ あとがき


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まえがき
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こんにちは。蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

ソフトウェア業界の状況とその中で目指すべき方向について記します。



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 (1)アベノミクスが最後のチャンス
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半年前、日経コンピュータに「アベノミクスが最後のチャンス
国内IT大手4社、成長への道筋」という記事が載っていました。

次のような内容の記事です。

> 「人が足りない」―。今年の春以降、国内IT業界ではうれしい悲鳴が
> 聞こえるようになった。「アベノミクス」の影響で、国内企業の
> 景況感が好転し、IT投資意欲が回復している。
> だが、浮かれるのは早い。
> 国内市場で安定した利益を稼げる今こそ、中長期的な成長戦略を
> 描き直す必要がある。
> 出そろった中期計画を基に、国内IT大手4社の成長戦略を検証する。
>
> (日経コンピュータ(2013年6月27日号)
>   http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NCD/20130619/486195/ )



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 (2)アベノミクスよりも先に回復に転じていた
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私は2008年8月10日に新航海術の補足ブログに
「ソフト業界は2008年3月を境に技術者余りに転じた」という記事を書きました。
http://www.gamou.jp/comment/2008/08/3_fb49.html


2008年3月から始まった「技術者余り」は、中小ソフト会社レベルでは
2012年夏頃終ったと私は感じています。
大手元請会社の回復はそれよりも半年ほど早かったのではないでしょうか。

第2次安倍内閣誕生は2012年12月26日なので、ソフトウェア業界の需給関係の
改善はアベノミクスよりも少し先んじていました。

しかし、日経コンピュータの記事にあるとおり「国内IT業界ではうれしい
悲鳴が聞こえるようになった」という状況になったのは、アベノミクスの
おかげかもしれません。



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 (3)法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営
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「技術者余り」の時代は、正社員を抱えている会社にとってはつらい時代でした。

社員数を減らさないことを前提にすれば、(売上は減っているわけだから)
赤字にならざるを得ない時代でした。

生き延びるためには、政府の中小企業保護政策(借入保証、助成金)に
頼らざるを得ない非常時でした。

「技術者余り」が解消された今は、きちんとやれば黒字になり得る時代です。
そのような時代では次の方向を目指すべきだと私は思います。

・無借金経営
・法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営

無借金経営については第247号「無借金経営」(2013/4/13)で解説しました。

 [新航海術]第247号:無借金経営
  Blog版: http://www.gamou.jp/sailing/2013/04/247130413-617c.html
  HP版:http://www.kei-it.com/sailing/247-130413.html


今回は「法人税を払って堅実に内部留保を溜めていく経営」について述べます。



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 (4)内部留保を溜めて一株の価値を高める
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会社の規模が大きくなるにしたがって、必要な運転資金も増えていきます。
その中で借金に頼らない方法として次の二つがあります。

(A)役員報酬をある程度大目に取り、会社の利益はゼロにして、その役員が
 増資を引き受ける。または、会社に貸し付ける。

(B)コンスタントに利益を上げることにより、内部留保を増やしていく。

法人税を払いたくないために、一般的には(A)の方法が採られますが、
これだと「役員報酬の一部は本当は会社のもの」という分かりにくさが
生じるというデメリットがあります。

また、社会保険料は会社負担分と個人負担分合計で28.5%にもなります。
役員報酬を増やせばそれだけ社会保険料も増えるのだから、
役員個人と会社全体での、税金と社会保険料合計を最小にすることを
前提にして役員報酬を決めた場合、その金額はあまり高くないと思います。


内部留保を溜めて一株の価値を高めることにより、創業者利益を確保する
ということが王道であり、その恩恵を社員にも与えることが社員持ち株制度
の意義であると思います。



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 (5)きちんとやれば黒字になる時代だからこそ
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冒頭に紹介した日経コンピュータの記事「アベノミクスが最後のチャンス」は
「国内市場で安定した利益を稼げる今こそ、中長期的な成長戦略を
描き直す必要がある」と指摘しています。

この記事は国内IT大手4社についての記事ですが、次の点は中小ソフト会社に
とっても言えます。

・技術者不足の今こそ、中長期的な成長戦略を描き直す必要がある。
・今後も景気の下降局面はあり得るので、その意味でも内部留保を
 溜める必要がある。



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